第13話

「はあ、はあ…… 小森!」


 小森を巻き込んでしまった。

かなりのスピードが出ていた。

もしかしたら、どこか骨折しているかも知れない。

どうにか体を引きずり、倒れた小森に近づく。

クラウディは、心臓が止まるかと思った。


「ハアッ、ハアッ……」


 心臓がバクバク鳴る。

あまりに鼓動がうるさく、爆発しそうだ。


「小森っ…… 小森っ!」


 倒れた体は、頭部が無くなっていた。

まさか、ぶつかった衝撃で頭がちぎれてしまったのか?

その時、妙なものに気が付く。


「……な、何だ、こりゃっ」


 配線コード。

それが千切れた首の辺りから覗いている。


(……血も出てねーし、コレ、もしかして……)


 すると、ゴソ、という音が背後からし、後ろを見やる。

目の端で影を捉えた。

誰かが木の裏に隠れている。


「誰だっ」


 叫び、木の方へと向かう。


「ひ、ヒイッ」


 木の裏に隠れていたのは、身長が150センチ位しかなさそうな、小さいオッサン。

口の周りには、丸を描いたヒゲを生やし、手にはラジコンの操作に使うようなリモコンを持っている。


「何だ、お前!」


「何だとは何だ! お、オラの小森ちゃん、ぶっ壊しちまって!」


 クラウディは驚きのあまり、尻餅を付いた。

まさか、自分が妄想を膨らませていた美少女の正体は、このオッサンの作ったロボットだったのだ。


「小森ちゃんの目にはカメラが仕込んであるだ。 この様子はネットで公開されてる。 下心丸出しで、みっともねぇ!」


 クラウディは生まれて初めて、本物の殺意で相手を睨み付けた。


「オラを殺すか!? やれるもんなら、やってみろい!」


「……」


 急に、力が抜けた。

ギャーギャー喚くオッサンのことなど、心底どうでもいい。

オッサンから向き直り、ふらふらした足取りでトラックへと向かう。


(っと、スノーボード、回収しないと)


 しかし、スノーボードは見あたらず、代わりに別なものを見つけ、手に取る。


「……これ」


 それは、入館証と思しきカードで、「永久機関大学」と書かれていた。

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