第9話

 翌日、クラウディとサニーの2人はメカニカル大学の1限目の授業、「ちょこっと機械工学」を受け、その足でキョージュの研究室へと向かった。

キョージュの部屋からは、クラシックが聞こえてくる。


「キョージュ、入りますよ」


 扉をノックしながらクラウディがドアノブを捻ると、白衣を着たキョージュが、ショパンの「ノクターン第2番変ホ長調」をピアノで奏でている。

サニーが苛立った風に背後に近づく。


「ったく」


(おっ、やったれやったれ)


 ピアノの世界に入り込んでいるキョージュを連れ戻すには、一発ガツンと後頭部を叩くのが効果的だ。

それも、サニーの平手打ちなら申し分ない威力だろう。


(……アレ?)


 キョージュの横に並び、いきなりピアノを弾き始めるサニー。


「お前も弾けるんかいっ!」


 思わずその場でコケる。

大股で近づき、パン、パン、と2人の後頭部を叩く。


「……は、いかん」


 目を覚ますキョージュとサニー。

クラウディはため息をつきながら言った。


「昼間っからトリップしないで下さいよ。 で、先日の米軍基地の件ですけど……」


 クラウディは、米軍基地のマイケルズと合流し、エターナルブレイカーを手に入れた旨を説明、今後、自分たちはどうすれば良いのかを聞いた。

キョージュは頷き、ここまでは予定通りだ、と言う。


「後は、エターナルブレイカーの真の力を引き出さねばならないが…… 君たち、期末試験が近いな」


 現在、時期は12月に入り、大学は12月26日から冬休みに入るため、その手前で試験を行う。

もちろん、クラウディとサニーも例外ではなく、センター試験が始まるのが一月ということを考えると、すぐにでも行動しなければならない。

サニーが口を開く。


「俺のイヴ(エターナルブレイカー)は釣り竿だったんスけど、こいつのイヴはスノボなんスよ。 こんな時期に滑れるとこってあります?」


 キョージュは腕を組んで思惑を巡らし、そうだ! とクラウディを見た。


「雪を降らせる装置を持ってる先生がいたな」

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