第8話

 透明なケースには、カプセルが何個か入っていたが、中身はビニール袋に包まれていてよく分からない。

さあ、早く、とマイケルズに促されるも、ちょっと待てよ! とクラウディが叫ぶ。


「エターナルブレイカーってコレ? つか、500円で買えちゃうのかよ」


 やたら仰々しい名前の割に、安い。

マイケルズは、買えば分かりますよ、と意味深なことを言ってくる。

訳も分からず、持っていた脚立を脇に置き、財布から500円硬貨を取り出し、ケースの溝にそれを投入。

レバーをガラ、ガラ、ガラ、と回すと乾いた音がし、丸いカプセルが出てきた。


(何か、変なワクワク感、あるな)


 クラウディもガチャガチャの景品は全て揃えたくなる口で、コップの○ち子、という少し前に流行った景品はシークレット込みで全て揃えた。

しかし、メーカーが調子に乗って色々なシリーズを出したため、コップの○ち子、part6の辺りで買うのをやめた。

その後、いらなくなったフチ子らはメルカリでセットで売られ、予想外の高値がついた。


(……何だ、こりゃ)


 カプセルをバラし、中のビニールの袋を破ると、出てきたのはスノーボードの形をしたストラップ。

それを手にした瞬間、それが巨大化してクラウディの手の中に収まった。


「うおっ……」


 突然、そこそこの重さのスノボの板が手の中に収まり、態勢を崩す。

マイケルズがそれを見て、スノボかぁ、と呟く。


「得意なんですか、スノボ」


「いや、全っ然、やったことねーし」


「……それはご愁傷様ですね。 では、彼もやってみますか」


 マイケルズはサニーの方に向き直る。


「面白そーだから、ちょっとやってみっか」


 サニーも手にしていたガスボンベと工具ケースを脇に置いて、財布から金を取り出し、レバーを回す。

出てきたのは、釣り竿だった。

カプセルの中のキーホルダーサイズの釣り竿は巨大化して正規のサイズへと変化する。


「ふぅん、で、何をどうすりゃいんだ?」


「それらのアイテムを使っていく内に、中にエネルギーが蓄積されて、真の姿へとメタモルフォーゼします。 その姿でなければ、エターナルブレイカーは実力を発揮しません」


 マイケルズの説明では、クラウディはスノーボードを、サニーは魚釣りをし、条件を満たすことでそれらのアイテムは本来の武器の姿へと変身するとの事だ。

クラウディがスノボを投げ捨てる。


「……付き合ってられっかよ。 俺、スノボなんてやったことないぜ。 こんな回りくどいことすんなら、普通に学校に乗り込んで答案を盗んだ方がはえーよ」


「そんな簡単じゃないから、今まで一度も破られたことが無いんです」


「……」


 それに、とマイケルズが付け加える。


「これは、あなた方のボスの指示でもあります」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る