第6話

「素晴らしですね。 合格です」


「誰だ、お前!」


 クラウディが少年に向かって叫ぶ。

その言葉が届いていないかのように、マイペースに少年は話し始めた。


「凄いなぁ…… 最新鋭の戦闘ロボットを簡単に倒しちゃうなんて。 見込みありますよ」


 機能停止したロボットを一周して、サニーとクラウディの方を見る。


「あ、申し遅れましたが、僕はマイケルズと言います。 あなた方がキョージュ、と呼んでいる者に依頼をした張本人です」


「……読めたぜ」


「何がどうなってんだよ、クラウディ!」


 うるせーな、と顔を遠ざけるクラウディ。


「マイケルズっつったか。 あんたとキョージュはグルだった。 これは本番を見据えた訓練、そういうことだろ?」


「正解です」


 マイケルズは経緯を説明し始めた。

マイケルズの父親はこの基地に在住する軍人で、マイケルズは今年大学受験をする高校3年。

良い大学に入るのがより良い人生を掴むために必須と考えたマイケルズは、父親を説得し、この基地を使った潜入訓練を計画した。


「僕の未来はあなたたちに掛かっていると言っても過言ではない」


「他力本願かよ……」


 サニーが小声で呟くも、思い切り聞かれる。


「心の声は、聞こえないようにお願いしますよ」


「声でけーんだよ」


 クラウディが肘でサニーを小突く。

しかし、これで簡単に基地内に入れたことにも合点が行く。

そして、成功報酬は1000万。

この少年が何者でも、これ程の金額を出す客はそうそうおらず、手放す訳にはいかない。

マイケルズが自分についてくるよう、二人に促した。


「こちらに来て下さい。 あなた方になら、乗りこなすことが出来るかも知れない。 壊し続ける者(エターナル・ブレイカー)、通称、イブを」


 センター試験の答案を手に入れる為、マイケルズが用意した強力な武器の正体が明かされようとしていた。

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