第5話
手にナイフを持った管理人が、狂ったように襲いかかってくる。
「何だ、コイツ!」
脚立を前に突き出し、ナイフを弾く。
ギャリッ、という音がし、火花が一瞬散る。
サニーが叫んだ。
「くっそ、何でバレた!」
「サニー、ボックスを開けろ!」
クラウディが脚立を振り回し、相手の気を引く。
管理人は自分たちが武器庫を狙っているということを察知したのか?
クラウディは、自分の受け答えに何か不審な点があったか、と考えを巡らせたが、今はそれどころではなく、すぐに目の前の出来事に集中する。
幸い、室内はコンクリで囲まれ、監視カメラの類いはない。
管理人も一人しかおらず、ここは米軍基地。
サニーが、地面に片膝をつき、工具ボックスを開いた。
そこには、銃が一丁。
「動くんじゃねぇ!」
サニーが銃の安全装置を解除し、銃口を管理人に向ける。
すると、管理人はすぐさま反転してサニーに躍りかかる。
(なっ、コイツ!)
「足を狙えっ」
クラウディが叫び、サニーが即座に管理人の太股に狙いを定める。
ガアン、という音がし、弾丸が相手の太股に命中、しかし……
「ぐあっ」
男は止まらず、ナイフをサニーの胸目がけて突き出した。
銃の腹でどうにか刃の軌道をそらし、今度は首の後ろ、脊髄に弾丸を数発、撃ち込む。
「ガア……」
咄嗟に体が動いた。
やらなければ、自分が殺されていたであろう。
震える手を無理矢理押さえ、たった今、殺してしまった男を見やる。
「……?」
おかしい。
男は倒れず、その場で硬直している。
クラウディが呟いた。
「ロボットか?」
弾丸で撃たれた箇所はむき出しで、シルバーの骨格が見える。
血は出ていない。
管理人ロボット? そんな風な考えが過ると、入り口の扉が開いた。
「やべっ」
サニーとクラウディが振り返ると、まだあどけなさの残る、学生服の金髪の少年が現れた。
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