第4話

「マジですまねぇっ! 俺としたことが、ミスっちまって……」


 サニーがメインゲートから少し離れた道端で突然、謝り始めた。

馬鹿でかい声で頭を下げる。


「てめっ、聞かれたらどーすんだっつの!」


 クラウディはどうにかサニーを黙らせたが、この男のアホさ加減にほとほと嫌気が差してきた。


(こいつがここまでポンコツだとは…… 俺らは絶対に不審がられちゃいけねんだ)


 国内で使用禁止の武器を盗もうということが知れれば、テロリストと勘違いされその場で処刑されてもおかしくはない。


「隠密行動で頼むぜ、ポンコツのおっさん」


「……」


 ポンコツ、と呼ばれ一瞬眉をしかめたサニーだが、先刻のミスがある為、言い返すことは出来ない。

そのまま通りを歩いて行くと、17、の文字の書かれた建物を発見。

そのまま進み、一旦脚立をサニーに預け、受付の所へ向かおうとすると、


「待ってくれ、名誉挽回のチャンスが欲しい」


 サニーが逆にクラウディにガス缶と工具の入ったボックスを渡してくる。

クラウディはため息をついて言った。


「……できんだろうな?」


「ああ、次は絶対上手くやる!」


 勢いだけは立派で、意気揚々と受付へと進むサニー。

ガラスの扉をノックすると、中から50代後半と思しき男が顔を出した。


「……はい」


「あ、俺、エアコンの修理に来たんですが。 ちょっと武器庫まで案内してもらっていいスか」


「……作業届は?」


「え」


 ヤバい、とクラウディは瞬時に思った。


(え、じゃねーよ! バカやろっ)


 アドリブに弱いサニー。

あたふたしていると、クラウディがサニーと受付の間に体をねじ込み、答えた。


「えっと、エアコンの不具合の信号を私どもで受信しまして、武器庫で緊急性が高いので作業届は出す暇が無かったのですが…… 事務の方には許可を頂いてます」


 一応、クラウディもメカニカル大学の学生で、こういった設備の類いの知識はある。

管理人の男は怪訝な表情を見せたが、クラウディはどうにか中へ入ろうと頭をフルに回転させる。


「誤信なら作業はすぐに終わるんですが……」


「一応、武器庫なんでねぇ…… 許可無し、というのは」


「もし空調の不具合で武器類がダメになった場合、私どもでは責任は取れません」


 その返答に、管理人が顔色を変える。


「……分かりました。 中へ」


 どうにか、中へと入る許可を得た。

やはり、何かあって修理業者が来ているのに中へいれなかったとなれば、それを遮った管理人にも責任が及ぶ場合がある。


(誰でも責任は取りたくないだろうからな)


 道具類を持ち、建物内へと入る。

管理人が鍵を開けて、武器庫と思しき室内へと入ると、そこには何もない。

コンクリートで囲まれたお茶の間程度の空間が広がっているだけだった。

二人が管理人を見やる。

すると……


 



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