第3話

ゲートの前の直立不動の警備員にサニーが声を掛ける。




「すんませんが、エアコンの修理で来たんスが」




「……しばらくお待ち下さい」




 警備員が無線で誰かと通話する。




「エアコンの修理業者が来たんですが……」




「業者名と、どこのエアコンの修理に来たのか確認を」




 相手の無線から声が聞こえる。


連絡を取っているのは事務方だろうか。


やり取りは日本語で、基地内は米国とは言え、職員は日本人が多いのかも知れない。


警備が二人に向き直る。




「では、業者名と、どこのエアコンの修理なのか教えて貰えますか?」




(……業者名か)




 何も考えて無かったな、とクラウディがサニーの方を見やる。




(そこら辺は俺がトイレに行ってる間に考えてんだろ)




 そんな風に思いつつ、サニーの答えを待っていたが、時間が凍り付いたかの如く、何の答えも無い。


よく見ると、サニーは硬直し、額から汗が止まらなくなっている。




(……え、ヤバくね?)




「あ、あのっ、あ、えと…… あ…… ちょと、電話しても……」




「ひ、日立ですっ!」




 思わず、クラウディが叫んだ。


ぱっ、と思いついたメーカーが日立で、確か自分の実家も日立だった気がする、とクラウディは思った。




「日立…… 場所は?」




「武器庫のエアコンです。 そう聞いてます」




「メーカーは日立で、武器庫のエアコンだそうです」




 警備が確認を取ると、事務方から許可が下りる。


身分証明書の掲示を求められ、二人は免許証を提出し、中へと入ることが出来た。




















 警備員の案内で、東側第十七棟が武器庫との事だ。




「17の数字が目印です。 建物には管理人が1名常駐してますので、案内に従い、中へと入って下さい」




「有難うございます」




 クラウディが礼を言って、二人は米軍基地内へと足を踏み入れた。

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