4.2 桃&能登:NTR

「かえでちゃん寝取って欲しいの」

「・・なんて?」

 

「ゆうくんからかえでちゃんを引き剥がして欲しいの」

「うーん・・まあ確かに俺はかえでちゃんは気になってて」

 

「知ってる。大好きだよね」

「今更だな。ああ、否定はできない。というかめっちゃ好き」


 能登さんあっさり認めますね。潔い。


「もちろん能登くんが好きなのは寝取りじゃなくて寝取られ、っていうのは分かってるの」

「・・なんて?」


 能登君くんからすればそんなことがばれているのは初耳でしょう。さも当然のように桃さんが続けます。

 

「NTRが好きなんだよね?」

「いや、まあそういうのはどうかな」

 

「え、じゃあ中年親父とかDQNっていうのが好きなの?」

「それはまあセットっていうか・・ってなんで桃ちゃんがそんなの知ってるの・・」


 能登さんごまかそうとしていますね。潔くない。

 

「でもだいじょうぶ。寝取ると寝取られるって立場逆にしただけじゃない? 同じようなものだと思うの」

「・・桃ちゃん。それは違うよ」


 むしろ、桃さんがなぜ同じだと思ったのかが知りたいです。

 

「能登くんだってかえでちゃんが他の人と仲良くするより自分がくっつきたいでしょ?」

「いや、まあなんていうか」

 

「だって好きな人が他の人と一緒なんて嫌でしょ?」

「うーん・・まあそれが普通なのは分かってるし、分かってもらえないのは分かってるつもりなんだけど・・」


 なんでしょうね、この分かり合えないかんじは。 

 ぺったんこがいいって言っているのに、でかいほうがいいに決まってるだろ、と押しつけるような。私は大きいほうが好きですが、好みの違いは理解できる男です。


「とにかくかえでちゃんをゆうくんから引き離してくれればなんでもいいの」

「それは俺ががんばってどうなるものなのかな」


「なるに決まってるでしょ。かえでちゃんがなにか格闘技でも習ってると思ってたの?」

「格闘技?」

 

「普通に組み伏せれば大丈夫だよ。扱いづらかったら縛っとけば」

「・・無理矢理押し倒すって事?」

 

「他に方法ないでしょ」

「ええと・・それ一歩間違えると犯罪っぽくない?」


 一歩どころか完全に犯罪です。一番おかしいのは桃さんですがどうもこの能登くんもかなり危ない。


「それはできないな」


 能登くん疑ってごめん。君はまとも側だ。今のところ。

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