3.3 桃&かえで(+能登):秘密への扉
桃ちゃんはもーしょーがないなー、ってかんじでへらへら話しいてたかえでさんが固まります。
「・・PCで調べた? なにやってんの桃ちゃん」
「ほら、前にグループ発表で集まったことあるじゃん。能登君とこでやったやつ」
「いや、あるけどさ」
「そのときにちょっと貸して、って言って。レジストリコピーしといたの」
「れじす・・え? なにそれ?」
こんな商売をしていますので、勇者様型の元世界のお話はわりと詳しいつもりなのです。PCというのももちろん分かります。
えっちな映像がいっぱい見られたり、その場にいない人と一緒にゲームして遊んだりできる夢のような機械です。あれ、あっていますよね?
ですが、れじすとりというのは初めて聞きました。
「パソコンの内容コピーしちゃったってこと?」
「そんなことしないよぅ、やだなぁかえでちゃんてば」
「なんだ、そかそか。びっくりした・・」
「女子も来るわけだからねぇ。見られたくないファイルは一旦消しとくでしょ、能登君だって」
「うん?」
「甘いなぁ、かえでちゃんは。それに時間かけて細かくチェックしたりしたら怪しまれちゃうでしょ」
「まって。それ大丈夫なの?」
「うん。ファイルサイズ小さいから。すぐコピーできるの。一瞬だからばれない。」
「だめじゃん!」
「だからだいじょうぶだって。能登君も全然気付いてないから」
「そういうことじゃないよ」
先ほどから会話の内容が微妙にすれ違っている気がします。
若干怪しい流れになってまいりました。でも大丈夫、桃ちゃんは天使。おじさん信じてる。
「まあそんなわけで能登君の好きな人やら性癖やらはチェック済み。それで確信したの。かえでちゃんには能登君がぴったりなんだって」
「それ聞いていいやつなの!?」
「もちろん」
「いやほら、法的にというか道義的にというか」
おかしいですね、なんだかかえでさんのほうがまともな人に見えてきました。私も知らず知らず疲れがたまっているのでしょうか。ももちゃんはてんしももちゃんはてんしももちゃんはてんし・・
「大丈夫だよ。だってここ異世界だし」
「なにそれ!」
「異世界っていうのはねぇ、自分が好きなことしていい、ってことになってるみたいなんだ」
ちゃんと調べたんだよ、ほめて、みたいな顔して桃さんが言い放ちます。
「・・でも能登君まだこっち来てないじゃん」
「あれ。そういやそうだねぇ。さすがかえでちゃん」
「わーい褒められた」
「でね、要点は2つ。ひとつめ、能登君が好きなのはかえでちゃん」
「流された。え、これこのまま続くの?」
「かえでちゃんがゆうくんと別れてくれればすぐ終わるよ?」
「いや、それはちょっと・・」
なんというかなかなか話が進みません。女の子同士ってこんなかんじなのでしょうか。いや、多分この2人はあまり一般的ではない気がします。
「えとね、集まる直前にかえでちゃんの写真がびっしり入ってたフォルダが消されてたの」
「そんなことも分かっちゃうんだ・・」
「そんなことぐらいでよければすぐ分かるよ。なんか小学校からあったよ」
「・・能登君とは小学校も中学校も違うんだけど」
少し能登君可哀想なんじゃないかな、って思いはじめたところで香ばしい情報が混ざってまいりました。
「別に盗撮とかじゃないと思うよ。遠足とか修学旅行とかのだし。たぶん合法」
「・・どうやって集めたんだろ」
「努力と根性?」
「いや、そういう爽やかさはちょっと感じないかな」
能登君とやらの話ですよね? むしろゆうさんがそういうことしそうです。
「でも能登君がかえでちゃん好きなのは信じた?」
「むしろ死ぬほど憎まれてるんじゃないかって気もするけど。なんかやったっけなぁ私・・でもまあ普通に考えれば、気に入ってくれてるってことなんだろうね」
「じゃあ要点の2つめ、性癖」
「うん。いや、それどうなんだろう。聞いちゃっていいのかな」
やっぱりかえでさんのほうがまともな気がします。構わず桃さんが能登君の性癖を暴露します。
「能登君、NTRってのが好きみたい」
私もかえでさんもジャンも固まります。くどいようですがいろいろな勇者様がいらしているので、意味は分かります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます