3.2 桃&かえで(+能登):あの人と別れて

「ゆうくんと別れて」


 桃さんが真剣な顔をしてかえでさんを見てはっきりと告げます。きりっとした表情なのにぽわぽわが取れません。可愛い。

 

「桃ちゃん・・まさかゆうくんのことが好・・」

「ちがうよっ! もうあんなのとかえでちゃんが付き合ってるのが許せないんだよぉ」


 しかもお友達思い。いいなぁ。

 

「あんなのって。一応彼氏なんだけど・・あとどのへんが駄目なのか詳しくお願い」


 なんかわくわくしていますね、かえでさん。あなたの彼氏さんですよ、今ディスられてるの。

 

「かえでちゃん目を覚まして! あれはもうだめ。終わってるの!」


 よかったですねゆうさん、可愛い二人があなたのことで争っていますよ。


「・・ゆうくんってそんなにだめ?」

「・・うん。詳しくは言いたくないけどあの男はだめ。ありえない」

「そっか、やっぱそうだよね!」


 かえでさん嬉しそう。

 

「なんで喜んでるの・・」

「え? ゆうくんってやっぱクズだよね、って」

「本当に分かってるの? 昨日だって私の胸を・・」

「あー、ゆうくん桃ちゃんの胸めっちゃ見てるよね! あればれてないと思ってるんだよ、本人。で、指摘したときのきょどりみがほんと、尊くて!」


 やっぱかえでさんおかしい。


「だからなんで嬉しそうなの・・」

「まあ多少人と好みが違う自覚ぐらいはあるよ。で、なんだっけ?」


 根本的にかみ合っていませんね。かえでさんは駄目な男がお好みなのでしょう。そして桃さんはそんな友人を矯正したいと奮闘しているわけです。いい子すぎる。がんばれ桃さん。


「かえでちゃんもてるんだからさ。もっといい男の子いるって。ほら、クラスの能登君」

「ええ・・能登くん・・」


 のとくん、とやらも同じクラスの男の子なんでしょうね。

 

「なんで嫌そうなの・・」

「だって彼めっちゃイケメンじゃん。いつも男の子と群れててゆうくんと正反対だよ・・」

「ゆうくんよりはるかにいいでしょ?」

「真逆であることは否定しないけどさ」

「あのね、能登君かえでちゃんのこと好きだよ、絶対」

「うえぇ・・」

「だからなんでそんな反応。いいから乗り換えようよ」

「いや、そんな気ないけど。だいたい能登君だって私のこと気にしてないでしょ」

「してるもん!」

「根拠は?」


 あるよもちろん、といった自慢げな顔をして桃さんは言い放ちます。

 

「ちゃんと能登君のPC調べたもん」

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