7話 〜対ルミネート〜

【7話】〜対ルミネート〜


「ルミネート‥‥‥最近話題の戦闘集団で、自分達のレートを上げる目的で、レートが高い人を襲うような人達です。」

落ち着きを取り戻したヒトナからルミネートについて説明を受ける。

「そんな高レートの奴を倒せるくらいヤバイ奴等なのか?」

ヒトナのいう高レートというのがどれくらいかは分からないが、1対1で次々に倒して行くような集団なら俺達に勝ち目は無い。

「凄いのは団結力と計画力です。自分達が有利なように事を運び、1対1だと敵わない相手には複数で挑みます。」

「汚ねえ奴等だな!」

隣でダカルが不満そうにそう口にする。

「でも、それなら今回私達が来たのは、ルミネートの人達にとっては誤算なんじゃないですか‥‥‥?」

いつの間に話を聞いていたのかリラがそう言ってくる。

「リラの言う通りだな、俺達がどう動くかで戦況は全然変わってくるだろう。」

現在、この国を動かしていた人達が、俺達が都に入って来た時とは反対側の門の外で戦闘中らしい。

だが、この国で1番強い女王は、護衛を連れてどこかへ行っているみたいだ‥‥‥。

「女王様ってのはいつ戻って来るのか分かるのか?」

俺は男にそう尋ねる。

「ミラン様は2日以上この国の外にいる事は絶対にありません。一昨日の夕方に出て行かれたので、あと5時間以内には戻って来られると思います‥‥‥。」

女王様はミランというらしい。

もし、ルミネートの標的がミランなのだとしたら、この都に入った瞬間にでも奇襲を仕掛けるのだろう。

「それまで堪えれば良いのか?それとも俺らで倒すよう動くか?」

ダカルがそう言い判断を俺に委ねてくる。

「俺らで倒すよう動く。いつ戻ってくるか分からない女王をあてにしては駄目だろ。」

俺がそういうと、リラとヒトナは分かったと頷いてくれる。

ダカルも俺の判断で納得してくれたみたいだ。

「なあ、ここの人達って、全員が柔で火を使えるって本当か?」

俺は再度男に尋ねる。

この質問の返答によっては作戦は大きく変わってくる。

「ああ、俺含め全員が使える‥‥‥。勿論、子供や老人はあまり戦えないが、俺みたいな歳のやつならある程度は戦力になれると思う。」

リラの言っていたことは本当のようだ。

改めてこの都の人達の凄さを実感する。

「よし、じゃあ今戦力になれると思う人達をここに集めてくれるか?」

「分かった、少し時間はかかるかもしれないが、できるだけ急ぐ。」

男はそう言って地下に戻って行った。

できたら20人は最低でも欲しいところだな‥‥‥。

「ミルファはいつまで拗ねてるんですか?」

すると、リラがそう言って、城の入り口で三角座りで拗ねているミルファの元へ寄って行く。

「あのね?もう少し仲間の意見を聞く事は大事だと思うわよ‥‥‥?」

やっと動いたミルファがリラと一緒に歩いて来ながらそんな事を言い出した。

「まあ確かにそうだな‥‥‥今回はもう引けないが、今後はお前の意見もちゃんと聞いていくよ‥‥‥。」

流石に俺も少し悪かったと思い、ミルファの頭をポンポンしながらそう言う。

「そう‥‥‥ならいいわ、今回は特別に頑張ってあげるわよ!」

この返しには少しイラッとするが、こいつも大事な戦力だ。

余計な事を言ってまた拗ねられると面倒なので何も言わない。

「アーク私は?私の意見もちゃんと聞いて欲しい。」

するとリラまでそんな事を言い出した。

「はいはい聞く聞く。」

そう言って適当に流し、皆が集まるのを待っていた。

10分くらいして、男が30人の男女を連れて戻ってきた。

「多いな!助かるぜ。」

ダカルの言う通りだ。

願っていた人数よりも多い戦力に俺もテンションが上がる。

「よし、じゃあ今から大まかな作戦を言うから聞いてくれ。」

俺は皆に向けてそう話し始めた。



都に数十人の人が入ってくるのが見える。

どうやら先に戦っていた人達は敗れてしまったみたいだ。

俺は入り口の近くにある家の後ろから奴等を偵察する。

向こうは作戦通りなのか、左右正面と3方向に戦力を分散させて侵入してくる。

だがその動きは想定済みだ‥‥‥。

正面には俺とリラとヒトナ、そして4人の国民。

左右それぞれにミルファとダカル、そして8人の国民を分けて配置してある。

どこから攻められても穴が無いようにしておいた。

正面から来るのは4人‥‥‥俺達との距離は10メートルほどだ。

そこから少しずつ距離が縮まり、俺達の横へ来た瞬間、

左右から都の人の柔の炎で敵を攻撃する。

「なにっ!」

いきなりの攻撃に敵も驚いている。

ちゃんと敵に当たった事を確認し、俺は衝突している炎の中へ龍の姿で突っ込んでいく。

この姿の最中なら、ある程度の熱ならなんともない。

そして、中で見えたのは3人‥‥‥それぞれが能力や魂でガードしているところを、体を捻って攻撃する。

「ぐぁ!」

「っって!」

その内2人は吹っ飛ばしたが、1人耐えられた相手に鎖を飛ばされる。

「何だ!?」

その鎖は俺の体にきつく巻き付き、身動きが取れなくなってしまう‥‥‥。

「こっちこいよ!」

鎖を出した男がそのまま手を引き、俺は敵の方へと引っ張られる。

その先では、さっき俺に吹っ飛ばされた男が右手に魂を溜めて待ち構えていた。

俺は引っ張られるのを覚悟で熱を周りに放出する‥‥‥。

「あっちぃな!」

それでも男は俺を引っ張り、そのまま待ち構えていた男に体を殴られる‥‥‥!

「ぐはっ!」

吹っ飛ばされた俺だが、鎖がまだ巻きついているため逃げられない‥‥‥!

「もう1発いくぞおらぁ!」

火傷では済まない筈の熱を受けても男は鎖を離さない‥‥‥。

俺はもう一度敵の方へと引っ張られる。

しかし、横から飛び出して来たリラの水の剣によって鎖が切断された。

俺は鎖をほどき、すぐにヒトナの元へと戻った。

「痛ってぇ、なんであの熱受けて立ち続けられんだよ。」

俺が愚痴を吐いている間、ヒトナは俺が殴られた箇所の時間を戻し回復してくれる。

「ありがとうヒトナ!隠れておけよ!」

「はい!無理はしないように!」

ヒトナはそう言って、さっきとは違う建物の裏へ移動する。

都の国民達は、唯一炎の攻撃を避けた相手と1対4で戦っていた‥‥‥。

俺はそれを横目で確認し、急いでリラのところへ戻る。

「大丈夫アーク?」

リラはそう言って俺を心配してくれる。

「ヒトナに戻してもらった、本当にあの能力頼りになるな!」

そう話している間にも敵からの攻撃は止まない‥‥‥。

前線で俺達に殴り掛かって来るのは、さっき俺を殴った魂を使う男だ。

その後ろで、鎖を出す男と剣を構えた男が立っている。

目の前で攻撃して来る男の戦闘技術は非常に高く、接近して戦えばすぐにやられるだろう。

かといって離れれば鎖の標的になってしまう‥‥‥!

まず先に鎖を出す男から倒さないといけないな‥‥‥。

「リラ!大量に水を流せ!」

俺は人の姿のまま、男からの攻撃を躱しながら指示を出す。

「はい!」

リラは俺の指示通り、高さ3メートルくらいの波を相手に向けて出す。

今この状況では、鎖を出す男からは俺の姿が見えない。

その隙に俺は再度龍に変身して空へ飛び、前線にいた男めがけて炎を出す。

とても狭い範囲に飛ばした炎はなんなく躱される‥‥‥しかし、炎はリラの出した水と衝突し大量の水蒸気を発生させた。

「くそっ、これが狙いかよ!」

視界を奪われた前線にいた男がその場から離れようと横へ走る。

だが俺の目的はそいつじゃない‥‥‥。

リラの波を、鎖を出す男の隣にいた男が剣を振って縦に割る。

だがその先に見えるのは大量の水蒸気‥‥‥!

その奥から飛んでくる俺の姿は見えない!

俺は水蒸気を抜け、猛スピードで鎖を出す男を手で掴み上空へ飛ぶ。

「させるかよっ!」

そう言って地上にいた男が剣を振ろうとするが、

「させませんよ!」

走って来たリラの剣によって止められる。

「くそっ、離せぇ!」

俺に捕まりながらも鎖を飛ばそうとするが、もう遅い‥‥‥!

俺は上空で男を離し、尻尾で地面へ叩き付けた。

「うわぁぁぁ!」

地面と衝突する瞬間魂で体を守ったみたいだが、ダメージは大きかったようだ。

男は地面の上で気絶している。

それを確認しリラの方を見ると、若干押され気味だった。

俺は2人の真横を通り過ぎ、後ろから男を狙おうとする。

そんな俺に気付き、男はリラを蹴り飛ばして俺の方へと剣を構えた。

だが俺は男の方へは行かない‥‥‥男が、俺が来ない事を確認しリラの方を向こうとした瞬間、

「ぐはっ!」

リラが投げた水の槍が男の体を貫通する。

そして男はそのまま地面に倒れて動かなくなった‥‥‥。

「アイン!」

さっき横へ移動していた男が今更戻って来てそう叫ぶ。

だがあいつ1人には空を飛ぶ俺に攻撃する手段は無い‥‥‥っ

「マジかよっ!」

そう思っていたが、男は足に魂を溜め、ジャンプで俺のいる高さへと飛んできた。

咄嗟のことに反応できず、空中で殴られた俺は家の天井に叩きつけられる。

「かはっ!」

大きな痛みが全身を駆け巡る‥‥‥その間にも男は俺の真上へ降りようとするが‥‥‥

俺は男に向けてエネルギーを溜めた炎の球を飛ばす。

範囲は無いが、空中でそれを避ける術は無い。

「嘘だろっ、あっつ!」

男は球もろとも上空へ飛ばされ、そして、

ドーーン!

と、炎の球は大きな音と共に爆発し、男は衝撃で都の反対側まで飛ばされていく。

あの爆発を間近で受けたんだ、多分死んだだろう‥‥‥。

俺は人の姿に戻りゆっくりと地面へ降りる。

「やりましたねアーク!」

お腹を押さえたリラが俺の元へと歩いて来る。

きっと蹴られた時のダメージが大きかったのだろう‥‥‥。

「すぐにヒトナの元へ向かおう‥‥‥!」

俺がそう言って、リラを連れヒトナの元へ向かおうとしたとき‥‥‥

「俺の仲間に何してんの?」

門の方から新たな男が入って来た。




《キャラ&能力紹介》

〈イルゼ〉B−

手から鉄の鎖を出すことができる

〈アイン〉C+

なし

〈クラン〉C+

なし




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