第9話

「そ、そんな…!」


頭を抱えてうずくまる最高神の弟


「おい!逃げんじゃねぇ

自分の黒い部分から逃げるな!

今回の出来事はお前が逃げたからこうなってんだよ

お前兄貴が大事なら泣かせんなよ」


顔を掴み目を見て言った


「でもっ、こんな黒い感情持ってたらっ…兄さんの側にいられないっ!」


そう言って顔を覆って泣き始めた


「なんでダメだと思うんだよ」


「だって!こんな感情は神様が持っちゃいけないんだって

持っていたらっ…神様失格なんだって…

兄さんに嫌われるって言われたんだっ!

兄さんに嫌われたらもういきていけないよ…」


嫌だっと言いながら頭を抱えた


「お前さ、そういうの此奴に言ってやったの?

お前ら兄弟なんだろ?

いくら神様でもさ、ちゃんと話し合ったら?

それに、黒い感情なんて皆持ってんだよ。

ただそれをどう受け止めるかそれで全部が変わる」


最高神をチラッと見れば唇を噛み締めて弟に近づく


「お前本当にバカ!

何で何も言ってくれなかったんだよっ!

僕がっ!何の為にずっと側近も補佐も付けずに来たと思うの!?

何の為に、悪魔王達に手伝って貰ったりしたと思ってるの!?

いつか僕の隣で一緒に働くってお前が言ったからじゃん!!

ずっとずっと…僕は待ってたんだぞ…」


そう言って最高神は涙をこぼした




「最高神の弟よ

最高神は、ワザワザ俺に頭を下げにきてまでして

お前の場所を守っていた

いつも弟の事をペラペラ話してくるのはウザかったが

お前はそんな兄貴の事考えてやったか?

自分の事ばかり考えてはいなかったか?」


呆然として頭を抱えていた手は地面に落ちていく


「俺は…兄さんの側に立つ為に最初はひたすらがむしゃらに頑張ってた…

だけど、いつからか兄さんが遠く感じて

兄さんの考えてる事がわからなくてっ…

段々会えなくなって捨てられたと思ったっ!

会えても何処かヨソヨソしくて寂しかった…


そんな時、人間界に遊びに行ったんだ

綻びはないかとかどんな風に育ってるのか見たくて。

兄さんの世界を見て俺も自分の世界を良くしたかったから。


その時ある男にあった…そいつは、蠍って名乗った…

俺と蠍は次第に仲良くなったんだ


兄さんの事を相談したんだ

そしたら俺は捨てられたんだって

でも、蠍がいるから大丈夫だって


そう言われてそれから…それから…

何があったのか思い出せない…」


遠い目をして語る最高神の弟



「そいつ、どんな奴だった?」


「白髪で赤い目をしてた

あ、後いつも黒い服を着てて胸元に蠍と蛇の紋章があった

蠍の作ったチームの紋章なんだって確か言ってた」


今までグチャグチャにばら撒かれたピースが揃っていく


「そうか、お前はさもう少し最高神信用してやれよ

そうすれば、最高神はそれに応えてくれるはずだぞ」


俺がそういえば最高神は頷いて弟の手をそっと握った


「っ!本当にっごめんなさいっ!

俺っ…」


「皆無事だった…だから…いい

だけど、お前がした事許されないことなのはわかるな?

だから生きて償え。いい世界作ってみせろ。」


「う…うんっ!

俺っ…頑張るからっ…

もっと!頑張って…!

胸張って見せられる様な世界を作ってみせるよっ!」


泣きながら強い目で俺を見ながら言った


「なら、その時を楽しみにしてるよ

最高神、後のことは任せたぞ

蠍の事は俺達がやるから」


俺はそう言って扉を作り皆を先に行かせた


「千くんっ!!!

本当にっ!ありがとうっ!!!」


その声を聞いて俺はニカッと笑い扉を閉めた






あの後帰ってから俺とサタン君とドラゴン達は

糸が切れたように倒れて寝まくって3日目で起きた


紅にはかなり泣かれた

死んじゃいやって泣かれました

死にません、俺


それから、キサラを紹介して

校長に頼んで俺たちと同じクラスになった。



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