第5話 ギルマスside

俺はセン達を部屋に残し急いだ。


あんな切羽詰まった彼奴らの顔初めて見た

いつもヘラヘラ笑ってるサタンも目にクマ作って青ざめた顔をしていた


俺にできる事はやってやりたいと思った

彼奴らはサランを助けてくれたしたな


俺は学園へ転移をして弟の元へ向かった


「兄さん!?どうしたの?」


俺が学園に来た事で何か大変な事があるとわかったんだろう


「千と仲の良い奴らも呼んでほしい」


「わかったよ。ちょっと待ってて」


俺は空き教室へ行ってサランに念話をした


『サラン今から学校にきてくれないか

グラウンドに来てくれれば俺の所に転移させる』


『何かあったの?ちょっと待っててね』


サランはそう言った後直ぐグラウンドに現れた


俺は自分の所にサランを転移させた



「お兄様、何かあったんですか?」


「ちょっと待っててくれ、皆が集まってから言うから」


力はどうにかなると思う

だけど、皮膚をどうするか。そこが問題だった


『千、皮膚は1人1つなのか?』


『そうらしい、何処に行ってるんだ?』


『ちょっと用事だ、勝手にどっか行くなよ』


俺が千に気になる事を聞き終えると

キャンディーが生徒を連れてきた



「あれ、何でサランも?

あ、兄さんこの子は神崎ファミリーと友達のミン君とクイ君とカイ君だよ」


名前を呼ばれ俺に頭を下げていく


「お兄様、そろそろ話して下さい

何があったんですか?」


「実は、神崎ファミリーの内

千とサタンとドラゴン達以外に呪いがかかった

それを解くには

人間の力を8人分

人間の皮膚を4つ

ヴァンパイアの血

ユニコーンの涙

が必要になるんだ。

天界と魔界にはもう力を分けてもらったと言っていた

力を分けてやってほしいんだ!

彼奴ら今すげぇ切羽詰まった顔してんだよ

頼む!」


俺が頭を下げるとサランに頭を上げられた


「お兄様、私の力でよければ幾らでもお分けしますわ

彼等は私の命の恩人です

皮膚の1つや2つ喜んであげますわ」


「僕もっ!僕にできる事なら何でもやります!」


「「俺たちだって!」」


「兄さん先に彼らの元へ皆を連れてって?

俺は後2人連れてくから」


キャンディーはそう言って何処かに転移していった


「本当にっ、ありがとうなっ!」


俺は涙を堪えてお礼を言いサラン達を連れてギルドへ戻った



俺達が戻ると千とサタンは俺たちに気づかず泣いていた


「サタン君、彼奴ら大丈夫だよ…ね?

最高神が時を止めてくれてるから今は苦しんでないよね?」


「最高神が守ってくれてる

だから、俺達は早く薬を作ろ?

それで寝坊助達にお仕置きとしてデコピンしてやろーよ!」


「うんっ、そうだねっ

お前らもごめんなっ

俺と居たから巻き込んでごめんな」


「主人泣かないで」

「俺達は主人といれて幸せだよ。後悔はないよ。」

「主人が俺たちの事大事にしてくれてるのわかってるよ。だからまた皆で遊ぼ?」

「主人1人で抱え込まないで。主人は1人じゃないよ」


ドラゴン達に慰められている千を見て


「そうだぞ!お前らは1人じゃねぇ」


俺がそう言うと俺の周りにいる人を見て驚いていた



「千君!僕達に出来る事なら何でもやるからっ!

だから泣かないで?」


「俺達兄弟もお前達の為にできる事があるなら手伝うぞ!」


「ご、めんっ、皆…ありがとうっ…」


センは泣きながら俺たちにお礼を言った


「サタン、何処に力入れるんだ?」


「このミキサーにお願い」


サタンも悲痛な顔をして目を真っ赤にしていた


「大丈夫、お前達ならやり遂げられる」


俺がサタンの頭を撫でるとサタンの目からポロポロと涙が落ちた


自分の涙に驚いているサタンはきっと我慢していたんだろう

自分が弱れば千を支えられないから。


誰が見ても分かるほど憔悴しているしなぁ。


俺達はミキサーに力を込めた


バンッ


「ごめん!遅れた!」


そう言ってキャンディーが連れてきたのは、校長と王様

まさかの王様の登場にセン達も驚いていた


「え、何で、ジンが?」


「友達のピンチに駆けつけなくてどうすんのさ!」


「え、でも…」


「千、心配するな

仕事はちゃんと任せてきたしな

だからちょっと遅れちまったけどさ

俺は王様でもあるけど、お前達の友達でもあるから

俺にできる事でお前たちが助かるなら救ってやりたいじゃん!」


王様はそう言ってセンとサタンを抱きしめた


「お前達よく頑張ったな

今だけは、肩の力抜け、な?」


王様が優しく2人の背中を叩きながら言うと


「も、もう…

あいっつらにっ…会えねぇ…かもしれねぇっ

俺、守れなかったっ!」


「紅守るってっセンに約束したのに

俺だけ助かってっ…守れなかったっ

俺がシッカリしないとって思ったけど

もしかしたらって…怖かった…」


2人は思った事を吐きながらひたすら泣いた

王様はそれをずっと頷いて聞いていた



「兄さん、生徒とサランは帰してきたよ」


コソッとキャンディーが話しかけてきた


「サンキュー、あ、力はそこのミキサーに入れろよ

皮膚4人分どうすっか」


キャンディーと校長がミキサーに力を入れる


「それなら、僕皮膚ぐらいあげますよ

それで生徒達が助かるなら安いもんです」


校長は微笑みながら言った


「俺と兄さん、校長を合わせて3人か」


3人で話していると


「俺も入れて4人分だ!」


王様が此方へ歩いてきた


「本当にいいんですか?」


「友達の為に皮膚ぐらい安いもんだ!」


王様はニカッと笑って服の袖を捲った


「皮膚は、俺が魔法で取る

出来る限り痛みはなくすけど、本当にごめんっ」


涙が溢れるのを堪えながら謝るセン


「気にするな!どんとこーい!」


「ササっとやっちまえ!」


「そうです、気にしないでください」


「いつでも来い」


俺達がそう言うと


「対象指定 ジン 校長 ギル先生 ギルマス

右腕の皮、''転移''!」


千のその声で腕に燃えるような痛みがした後

発狂しそうな程の激痛が俺を襲った


でも叫べば千達は気にやむ


唇を強く噛み締め声を堪える

唇が切れたのか血が顎を伝って地面に落ちていく


周りを見れば誰も悲鳴をあげず歯を食いしばっていた

やっぱり考える事は同じか


「復元!」


千の声で痛みが引いていき腕を見ると皮があった

皆で顔を合わせて首を傾げていると


「皆の皮を此方へ転移させた後に

なくなった場所を復元したんだ。

それでもやっぱり取った場所の痛みは少し残ると思う、ごめん」


本当にごめんと泣くセンを抱きしめて


「「「「気にすんなよ!!!」」」」


あれ?ハモった?また顔を合わせて首を傾げた


「本当にありがとうっ

今度は皆で遊びに来るねっ」


「ありがとう、またな」


そう言って2人は笑って扉の中に入っていった



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