第3話 すげぇ修羅場
ひとまず現場を把握せねば。
ゲームでは主人公はこのオリュンピアに外から転入してくる。
この都市に来る理由は「強い奴に会いに行く」だったはずだ。
お前はどこの格闘ゲームのキャラクターだ。
それはさておき、物語の始まりは主人公がこの都市に3つ存在する学校の一つであるムサシノ学院。つまり私たちがいる学校に転入するところから始まる。
今時期はいつなんだろう、できれば主人公がこの都市に来る前であれば色々とした準備が可能なのだけれど。
「そういや先ほど面白いものを見かけましたよ」
「面白いものですか?」
「えぇ、あの
「炎姫が?」
「そろそろ新聞部が情報を学内ネットにあげてるんじゃないでしょうか?」
それを聞いて私はこの世界の携帯端末を取り出す。
この世界の端末はとてもコンパクトで起動するとホログラムの画面が投影される。
操作は何となくわかるので素早く学内ネットのページを開いた。
そこには更新された記事がでかでかと載っている。
『炎姫激突!相手は謎の男子生徒!?』
それを見て私は目を細めてしまう。
これは序盤にヒロイン1に出会うイベントだ。
主人公はヒロイン1にちょっとした勘違いでぼこぼこにされかけるが、その途中で正体不明の攻撃により決闘に横やりが入る。
それに気が付いた主人公はヒロイン1を庇って怪我を負い、一旦その場の決闘は中断される。
ちなみにそのシーンは他のヒロインたちも野次馬に紛れて観ており、全員が主人公の顔を覚え、一目を置かれる……はずだ。
もう学院に来ているのか。
「ウチの制服を着ているから転入生ですかね?」
「そうでしょうね。
私も生で見ていました」
「そうなのですか?」
「まぁ、まだまだって感じでしょうけれど期待はできますね」
「カノン様にそこまで言わせるなんて……」
「会ってみたい?」
「そうですねぇ、一度手合わせはしてみたいとは思いましたけれど」
「意外」
「そうですか?」
流石は主人公。
人を惹きつける魅力は伊達じゃない。
「とりあえずその話は置いておいて早く教室に向かいましょう。
このままでは遅刻してしまいますからね」
「誰かさんのせいでね」
「そうだぞキュレル」
「アンタだっつのっ!」
キュレルに頭をぐりぐりされてとても痛い。
それはそれとしてこれからどう動こうかな。
授業中に何か考えとくか……。
☆
さっぱりわかんねぇ。
主人公のことではなく、授業内容がだ。
嘘だろ
お前、その、バカだったの!?
びっくりだよ!!
だが、一般的な科目に関してはあまりにもダメだった。
元々の私が通っていた学校よりもレベルが高く、まったくついていける気配が無い。
最初は
よく2年生になれたな!
これ、ちゃんと勉強しないと色々とまずいな……。
恥を忍んでキュレルに勉強を頼もう。
設定通りなら成績優秀だったはずだ。
思い立ったが吉日。
これから放課後の為、別のクラスであるお嬢とキュレルに会いに行こう。
というか私は別のクラスだったのかよ。
「確か二人は彼と同じクラスだったな」
言わずもがな
更にはそこにヒロイン1と2もそこにいたはずだ。
固まってんなヒロイン。
残りの4と5は別の学年のため、一緒に行動するのは特定の場所やイベントが無いと顔を出すことはない。
ちなみにうちのお嬢は3番目のヒロインにあたる。
自分の教室を出て、隣の教室に移動する。
余談だが、この学校のドアはセンサーで開く自動ドアだ。無駄なところに金かけてるな。
「キキョウの案内は私がするから
「それはどうも
それを返さないのは私のプライドが許さない」
「じゃあ間を取って私が」
「「雷神は関係ない
なんだこの修羅場。
1と2とお嬢が主人公を巡って争ってら。
……あー、確か序盤の場面にこんなのあったな。
まぁ1以外のヒロインの顔合わせというか、出会いイベントだ。
2は主人公の幼馴染で、学校を案内する言ってくるのだ。
だがその前に1が襲撃者から助けてもらったお礼を兼ねて先に約束をしていた為そちらを優先しようとするのだが、それをきっかけで元々敬遠の中である二人が争う形になってこのような場面になり、更にそこにお嬢が乱入するので自体が悪化する。
ゲームではここで選択肢が出てくるので誰と選ぶのか決められる。
まぁ最もここらは共通ルートで結局はみんなで学校回るのだけれども。
強いて以外を上げるとするならばキキョウの隣に座る人が変わるくらいか。
い、行きたくねぇ……。
「あの、カノン様?
わざわざ介入しなくても」
「あらあら面白そうなことに首を突っ込まないなんて損でしょう?」
「貴様の娯楽に付き合う暇はない」
「貴女はそこの取り巻きの世話で十分でしょ」
「あらまぁ辛辣ですわね」
めちゃくちゃヒートアップしてるな……主人公はどうしているのか。
そう思ってヒロインたちに囲まれている男の子を見る。
「いや、あの……あはは」
めちゃくちゃ困っていた。
こう見るとすごく可哀そうに見えるな?
しょうがない、助け舟を出してあげよう。
どうせみんなで歩き回ることになるのだからここでちょっかい出したところで大して問題はないだろう。
傍観している生徒たちの間をするりと抜けてその場に向かう。
「あらアーリア」
「むっ、もう一人の取り巻きか」
「炎姫、借りがあるなら別の日でも構わないと思うけど」
「それはそうだが……」
「ほら、じゃあ私が」
「氷刀も同じ」
「なんでそうなるのよ」
「そもそも本人の意見を聞かないのはどうかと思う」
「うっ」
「ということで、はいどうぞ」
手首をくるっと回して手を主人公に向ける。
「えっ?俺が決めるの?」
「君の取り合いをしてるわけだから、本人に決めてもらった方が後腐れが無い」
「あー、ならみんなで一緒にって事じゃ……ダメ?」
引き出せた。
そこでチラリとお嬢を見る。
するとお嬢と目が合い、彼女は頷いた後に両手をパチンと合わせた。
「それはとてもいい提案だと思いますわ!」
「いや、なんで貴様が賛同してるんだ」
「あら?当の本人が言っているのですのよ?
それを蔑ろにするのは淑女として恥ずべきことではありません?」
「い、いけしゃあしゃあと言うわねアンタ」
それは私も思う。
「お二人がご不満なら私達だけで」
「「そうはならん
言葉が揃うとか、実は仲良しなのか?
目が覚めたら異能学園モノに転生しました。 projectPOTETO @zygaimo
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