第12話 守られる人
コロナ感染者がずいぶん減ったころのこと、夏に主人の有給休暇が取れるということで、8月11日から13日の予定で、長崎のハウステンボス、軍艦島などを回る旅を計画し、ホテルを予約しました。
しかし、7月に入って、私の会議の日程が変更になり、旅行の日と重なってしまいました。まあこのくらいは休んでも大丈夫、と思っていたのですが、8月の初めごろからでしょうか。私の膝が痛くなり、ヘルニアからの足のしびれが出始め、手の腱鞘炎が急にきつくなってきました。また、猛暑日が続き、体力的にも自信がなくなってきて、まるで行くなと言わんばかりに、いろんなことが重なり始めたのです。
「これで台風でも来たら、絶対行くなってことよ」
と言っていたら、本当に台風が2つも発生。その日までに終わるはずだった娘の仕事も終わらず、誰かに引き継がなければならない事態に。
「もしかして、行ったらコロナに感染するのかな? 何かにまきこまれる?」
それでも主人はせっかくの有給、どうしても行きたいようでした。しかし、その日、私の痛みがピークに達して、物を握るどころか、手にあたっただけでも悲鳴を上げるほどに。
「もう無理、これじゃあ楽しめない」
と訴えたため、主人も娘も、しぶしぶキャンセルを承諾しました。キャンセル料がかかる直前でした。
その翌日。東京では感染者5千人超え。台風は3つになり、旅行の予定の日は3日とも雨の予報。だから、よかった、キャンセルして、と思っていたら、あらまあ不思議。昨日、あんなに痛かったのに、腱鞘炎やひざの痛みも足のしびれも軽くなっていました。
8月11日から13日、旅行する予定だった3日間は、九州は災害級の雨でした。もし、行っていたら全然楽しめなかったし、怖い思いもしたかもしれません。私、本当に守られていたみたいです。その後、自宅のある地域も大変な豪雨でしたが、何事もなく、平穏に暮らしております。感謝、感謝。
これを書くにあたり、他に何か守られたことがあったかなと思い返してみると、ありました! 芸予地震の時、私、地震に気づかなかったんです。震度5強の大きな地震なのに、どれだけ鈍感! という話ですよね。みんなに驚かれました。多分その時、車を運転していてトンネルの中にいたせいだと思います。車を降りて、商店街に入ってビックリしました。スーパーの外壁が落ちてるわ、お店のカセットテープの山が崩れて落下してるわ、停電してるわ! 何かぶつかったのかしらと思って
「なにがあったんですか?」
と聞いた私はきっと宇宙人に見えたことでしょう。
あと、わりと最近、すごく不思議だったのですが、震度3くらいの地震が来た時、リビングにいる子供たちは大騒ぎしていたのに、隣の台所にいた私は揺れを感じませんでした。食器棚があるのにガラスの音もしませんでした。本当に不思議。ただの鈍感なのでしょうか? いいえ、もしかしたら私、恐怖から守られている人なのかもしれませんね。ああ、ありがたや。
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