第9話 戦争に行った人

 私が子供のころは、おじいちゃんたちはみんな戦争に行った人でした。病院の待合室で、おじいちゃんたち、初めて会った人同士でも、「どちらへ……?」と、戦争の話で盛り上がっていたものです。


 さて、ここからは、匂いとか汚いもの、悲惨な環境とかに弱い方、読むのをやめられてもかまいません。残酷なシーンはありません。



 これは私が仕事でお会いした、お客様のお父様のお話です。生前、戦争の手記を書いていらっしゃったので、読ませていただきました。


「話すのが恥ずかしいこともあるが、後世に伝えなくてはならないと思い、決心してこれを書いた」というような前置きがありました。


 ここからは記憶に残っている部分だけ書きますので、省略されている事も多いことをご承知ください。


 この方の部隊は船に乗せられ南方に向かいました。船では、外に出ると、敵にねらわれて命を落とすので、全員船室にこもって、外に出られませんでした。ひどい船酔いとの闘い。吐く者も多く、その汚物の匂いが船室に充満して、それはひどいものだったようです。


 戦地では徒歩。皆に遅れないよう、ついて行かなければいけません。現地の水は飲んではいけないと言われていましたが、喉が渇き、どうしても我慢ができず、飲んでしまいます。お腹を壊して、ひどい下痢をしても、用を足している間に置いて行かれたら、ジャングルの中で一人取り残され、死んでしまうのです。ですから、みんなズボンの縫い目をほどいて、垂れ流しながらも必死でついて行ったそうです。


 他にもいろいろ書かれていましたが、これだけでもかなりの衝撃でした。よくぞ御無事でと言わずにはいられません。


 この話を父にすると、


「じいちゃんも同じようなこと言いよったのお」


 と言ったので、更に衝撃を受けました。


 母の父は、生前、戦争のことを聞いても、母たち家族には一切言わなかったそうです。私も子供のころ聞いてみたことがありますがスッと表情が変わった雰囲気に、聞いてはならないと感じ、それ以来聞いていません。でも、婿には男同士、話していたようです。


 祖父は中国へ行ったと言っていたので、南方の暑いところとは違っていたかもしれませんが、広い大陸を歩いて移動したと聞きました。その強靭な生命力の先に、私の命があるのだと感じます。そして、このように、戦地に行かれた多くの方々のおかげで、今の日本があるのだとしみじみと思います。


 今、日本は平和で、兵役もありませんが、韓国にはあります。私は韓流が好きなのでよく見るのですが、韓国の俳優さんが兵役から帰ってくると、ムキムキに鍛え上げられた上半身を披露してくださいます。本当にムキムキ。これを韓国の男子、みんながやっているの? と思うと、日本人、大丈夫か? と思ってしまいます。


 お断りしておきますが、私、平和主義者です。戦争は反対。でも、彼らを見ると、精神的にも肉体的にも鍛えてくれるプログラムが日本にもあっていいのではないかと思います。有事に日本の男子、大丈夫なのか心配です。(韓国人はきっと、女子供を守れます)


 最近、コロナ関連で報道される日本の一般人、自粛期間中にパチンコに行ったり、飲みに行ったりする人の事が多いので余計にそう思うのかもしれませんが、武士の魂、どこへ行った? 映画「ラストサムライ」を見た時、「武士って素敵」と、思いましたよ。日本の男たち、頼むよ~!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る