第6話 手から物を出せる人

 以前、会計の予備校で、簿記の講座を受けていたことがあります。東京の先生の授業のDVDを、各自ブースで見るというもので、そのDVDは全国の予備校や、通信講座などでも見られていたと思われます。そんな全国規模の講義でありながら、工業簿記の先生が、信じられないことを話し始めました。

 アメリカには、空気中の微粒子を手の中で物質化させる教室があるそうです。先生もやってみたくて日本で探したらあったので、通っている、とおっしゃっていました。先生はまだできないけれど、お友達は安全ピンくらいは出せるのだそうです。サイババみたい! 一度見てみたいものです。ていうか、習えばできるようになるのなら、私もやってみたい!

 また別の日。先生は前日、テレビで手品を見たとかで、

「セロは本物だ。あれは、本当に物を出している」

と、とても興奮していらっしゃいました。セロって、メニューの写真からハンバーガーを出しているのを見たことがあります。出来たての、きれいなハンバーガーが出てきたので、本当にすごかったです! 物質化して出していると言われれば納得のワザ! でも……先生、こんな全国ネットで何度も見られるDVDに、そんな話を収録しちゃって大丈夫なの?

 また別の日。目をつむって、例えば三角形などの図形を思い浮かべて、ずっとそのまま維持しようと思ってもすぐに気が散って維持できなくなる、人は右脳と左脳があるために、右に行ったり左に行ったりして、集中することができない、という話を始められました。脳が一つだったら、集中できて、すごく優秀になるみたいです。人間を作ったお方は、ご自分より人間が優秀になったら困るから、脳を左右に分けたそうです。

 シュメール人の記録(あの、楔形文字のやつだと思います)によると、宇宙人か誰かが突然そこに現れて、ご自分の代わりに何か仕事をさせるために、そこら辺にあるもの?を集めて人間をつくったそうです。彼らは高い文明を持っており、突然現れたらしく、歴史上どこから来たかわからないみたいです。

 サルが人間に進化したと言われるけれど、世界中のどこを掘っても、いまだにサルから原人への進化の骨は見つからない、だから、人は最初から人として作られたのではないかというお話しでした。聖書でいうところの、神様がアダムとイブを作ったみたいな感じでしょうか。

 そんな話をされて、DVDを見ている私の方が、ハラハラしていましたが、

「こんなこと話したらまた怒られるけど」

とおっしゃっていたので、先生はちゃんと怒られていたみたいです。

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