あれから数年
鈴木隆行が引退するとのニュースを見て、あの日の天皇杯を思いだす。
震災の復興はまだ続いている。流された建物の残骸は撤去され、新たな建物が立てられる。この街も新たな歴史を紡ごうと立ち上がってきている。
鈴木隆行という選手は天才ではない。努力だけではい上がった男だ。時には強烈に輝き、また時には、輝きが薄れた不遇の時もあった。それでも何度も這い上がってきた。
彼のプレースタイルも変わらない。水戸のユニフォームを汚しながら何度も起きあがってきた事は鮮明に思い出せる。
「智は隆行の引退試合を観に行くか?」
「当然だろ。水戸サポーターの義務だよ。」
仕事帰りに同じく水戸ホーリーホックを応援する智に声をかけた。
「鹿島サポも来るよな。ちょっと緊張する。」
「会場は家のホームだから大丈夫だって。」
「試合の後で鈴木隆行の逸話を鹿島サポに聞きたいな。伝説のハットトリックとか。」
智と別れ引退試合の日程を確認する。新しい出会いが待ち遠しくなった。
2011年 天皇杯 あきかん @Gomibako
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