新しい居場所
「今日からお前は
「しんばみずき……!かっこいい!」
「ふふっ。よかったね、水樹君」
嬉しそうに笑う水樹を見て、ここに連れてきてよかったなと思う大和。
「大和達のこと見て、いい大人もいるんだなって、思った」
「みんなが悪い大人、ってわけじゃないよ」
「……そっか。でも、俺の周りの人達はみんな、悪い人しかいなかった」
そんな話を聞き、沈黙する2人。
「ねぇ、2人はどんなお仕事してるの?よかったら俺、手伝いたい」
「え?」
「何か役に立ちたいんだ。助けてもらったから。どうかな?」
仕事を手伝う、と提案をしてくれるのは嬉しいが、自分達は裏社会の人間だ。
この子にそんな事を手伝わせてはいけない。
「気持ちはありがたいが」
「何でもするよ。人を殺してって言われたら殺すし、何か物を運べって言われたら運ぶ」
「水樹君。人を殺すことはいけないよ」
「ダメなのか?俺を拾ったやつは殺してもいいって言ってたけど」
「拾ったやつ……」
「ローグって奴。あいつ、平気で人殺すし暴力も振るってた。怖くて、従うしかなかった」
「ローグ!?」
親に捨てられただけでなく、彼に拾われてしまったのか。
相当過酷な人生を送ってきたのだろう。
「あれ。2人ともあいつの事知ってるの?」
「君は、彼の元にいたのか……」
「うん。でも、珍しいね。あいつの事知ってるなんて」
「私の仲間の子供が彼に誘拐されていてね。助けに行ったんだ」
「……そっか。あいつは目的の為だったら、何でもやる」
「目的?」
「うん。『大和くん』を探してるんだって、いつも言ってた」
「大和くんって」
「大和くんは俺の可愛い実験材料なんだ、早く戻ってきてもらわないとって」
「実験材料……?戻ってきてもらわないと……?」
そう言えば、施設で彼と会った時「感動の再会」と言っていた。
大和が昔施設にいた、と言う事なのだろうか。
「俺、ですか?でも、あんな所にいた覚え……」
「少し、調べてみる必要がありそうだね」
「あ、なら俺が行くよ。怪しまれないだろうし」
「え……いいのかい?」
「うん。役に立ちたいから」
「じゃあ、お願いするよ。危険だと思ったら、戻ってくるんだよ」
「うん」
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