二人のストライド
――私たちの歩幅は変わっていく。
幼稚園で追いかけっこをしていた日。
君より少しだけ背が高かった私は、君より少しだけ歩幅が広かった。
小学校を卒業する日。
桜が舞う校庭で、みんなに見送られながら並んで歩いた。
私たちの背丈は同じくらい。歩幅も同じくらいだった。
中学。初めて手をつないだ日。
時間をかけて帰りたいから、わざと小さな歩幅で歩いた。
気付かない君は、引く手が汗ばんで、少し早足になっていた。
そして春はめぐり、君の歩幅は広くなった。
――私はもう、君の歩幅についていけなくなった。
悠然と歩いていく君の背中に、小走りで追いつくことも増えた。
雨の中を逃げるように駆け出すこともあった。
立ち止まって、心を通わせることもあった。
……もう君と同じ歩幅で歩くことは無くなっていた。
ところが――ある日を境に、また君は、私の隣を歩いてくれるようになった。
友人たちの祝福に包まれた、白いチャペルの花道で。
私の肩を支えながら、病院へ向かう道で――
――そして今、私たちは、とてもとても小さな歩幅で、公園に向かって歩いている。
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