12月 2日 土曜 晴れ

あなたは、神に祈ったことがあるだろうか。

神こそが希望であると、一心に自分の望みを神に祈ったことがあるだろうか。


僕はない。七夕や年末に淡く祈ったことがあるが、神のために本気で願った事がない。あなたはこれを幸福だと思うだろうか?それとも不誠実だと憤慨するだろうか。


僕だって、感謝の気持ちがないわけではない。ただ、なんだか少し神に不信感を抱いているのかもしれない。神がこの世界の日常を見守っているのなら、あまりにも歪ではないか。





正しい世界というものを誰も思い浮かべられないほどに。






この世界の闇は、手を伸ばせば誰でも触れることができるほど広がっている。

人々は死を必要以上に恐怖している。


ねえ、神様。あなたは今、世界の何をみているんでしょうか。



おしゃべりシャベルなんてふざけた名前の、現実の顔も名前も何にもわからない人が、今日、上司にパワハラを受けて会社を辞めるそうです。

かの人は、昨日、政治家の一言を取り上げて、罵詈雑言の限りを電波に載せていました。


考続日記なんていう如何にもな名前の、悟ったような、人を馬鹿にしたようなボトルメッセージをひっきりなしに流し続けている人の、現実の顔を知っています。

かの人は、いつも僕に笑顔で挨拶してくれます。現実、誰にも分け隔てなく優しい行動をします。


僕には電信海の住人に人間を見つけられません。彼らは確かに人なのでしょう。

でも僕には思想ゴーレムのままごとにしか見えないんです。

優しいゴーレムは優しいまま。分からず屋ゴーレムは分からず屋なまま。

作られた性格で作られたルールで動く土塊のままごと。


あなたは私を馬鹿で愚かな人間だと思ってくれますか・・・?

やはり僕も土塊からできたゴーレムなんでしょう。


別に


別にいいんです。ゴーレムで。


僕はもしかしたらゴーレムの方がよかったかもしれないって思ってるんです。

あんなに真っ赤な血が流れていなかったら、きっと、誰かを貶める感情が湧くこともないんだろうと思うんです。信じたいなんて思う前に疑わないだろうって。


ねえ、神様。あなたは今世界の何をみているんですか?


ねえ、神様。




僕は間違っている。神様は世界の歪みの責任を全て負ってくれるような便利なものじゃないはずだ。

この世界で生きているのは僕だ。神様はこの世界で生きていない。

もしも僕が理解できない理不尽な人に出会ったとして、その人は神様じゃないし、神様がその人になり変わることなんてできないだろう。


・・・。

もしも世界が歪みのない正しい世界になったとして、そんな想像もできないものが存在していたとして、その世界に住む僕は、幸せだろうか。

そもそも正しい世界には、幸せしかないのかな?


想像なんてできっこない。だって僕は、幸せを知らないんだから。







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