俺は、未来を変えられるだろうか。(終)


「4番、ピッチャー、大城くん……背番号1」


 メガホンがぶつかり合う音。声援。

 ブラスバンドの演奏音。


 ベンチから聞こえる俺の名前を呼ぶ声。


 デッドボールのあと、すぐに意識を取り戻し試合に復帰した。

 そして、今は2回目の打席である。


 背の高い投手が、大きく振りかぶり、その腕を思いきり振った。


 腕から放たれた白球が、俺の元へ鋭く伸びてくる。


 球種は……まっすぐ。

 ど真ん中。俺は金属バットを思い切り――


「…………ッ!」


「ストライク!」


 人は、簡単に壊れてしまうんだ。


 バットは空を切って、白球がキャッチャーミットに快音を響かせて収まる。


 どうしたらいいか、分からない。


 けど。


 野球と同じで、

 人生は何が起こるか分からない。


 俺は、少しずつ、自分を変えてみようと思う。



 2020年夏、26歳になった俺が首を吊らないように――。


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10年後に俺は、自殺するらしい。 三澤凜々花 @ririka_misawa

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