出し物3 漫談 ピロリ金太郎

 どうも、ピロリ金太郎です。

 世の中には色んな心の貧しい奴が溢れてますねえ。


 どうして部下に嫌味ばかり言う上司が後を絶たないんでしょうか。

 私、サラリーマン時代に営業の仕事をしていたんですが、なかなか仕事が取れませんでした。

 ショボくれて会社に戻りますと営業課長が、「早いな、帰ってくるの。お前の周りには時差があんのか?」と言って来ました。

 私は仕方なく、「おはようございます。8時間、時差があるんですよー」と明るく答えました。

 そしたら上司が、「じゃあ、これから営業に行くんだな。ご苦労さん」と切り返して来ました。

 頭に来たので、「行ってきまあーす」言って、帰ってやりました。


 次の日、嫌々ながらも出社しますと、営業課長が先に来ていて、「今日の売り上げはいくらだ?」と訊いてきました。

 カチンときましたが、「時差があって、お客様に会うことが出来ませんでしたー」と答えてやりました。ついでに、「お先に失礼しまーす」と言って、その日は帰ってやりました。

 当然、私は間もなく解雇くびになりました。


 解雇くびになった私は営業成績も悪く、仕事もサボっていたのである意味仕方がありません。自覚もしています。

 くだんの営業課長にも当然、上司がおります。営業部長です。

 食物連鎖ではありませんが、営業課長も当然の如く、営業部長から責め立てられていました。

「課長! 今月の売上はどうなってるんだ? 全然、目標額を達成してないじゃないか!」と叱責されます。

 これに対して課長も、「社員と時差があって、コミュニケーションが取れないんですよねえ……」と誤魔化します。

 しかし、部長から、「じゃあ、お前か部下のどっちかを海外支店に転勤させろ」と追い討ちを掛けられます。

 仕方なく、「はい。私、来月から台湾支社に転勤させていただきます」と答えましたが、「1時間しか、時差ねえだろ!」と結局、部長に突っ込まれました。

 営業課長は、翌年、アブダビ支社に転勤になりました。


 営業課長をアブダビに飛ばした営業部長ですが、当然、部長にも上司がおります。社長です。

「部長。今期の営業利益は予算どおり、達成できるんだろうね?」と詰問されます。

「あ、はい……。実は、営業課長と時差があって、コミュニケーションが取れないんですよねえ……」

「お前がアブダビに飛ばすからだろ!」と一蹴されました。

 自業自得ですよね。

 営業部長は翌月、子会社へ出向になりました。


 営業部長を子会社に飛ばした社長と言えども安穏あんのんとはしていられません。

 株主と株主総会対応があるのです。

「今期の当社の純利益は前年比90%減の10億円でございました。従いまして、今期の配当は無配とさせていただきます。来期につきましては、大幅なリストラを行い、経営資源を得意分野に集中投下し、V字回復を達成いたします! 株主の皆様、どうぞご理解ください」などと社長がのたまいます。

 こんな答弁で納得する御目出度おめでたい株主などおりません。

 私も会社をクビになってから株を買ってやりました。

「社長! どうして今期は営業利益目標を達成出来なかったんですか?」と私。

 これに対して社長が言いました。

「社員とコミュニケーションが取れなかったんです」

「バカヤロー!!」

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