3-5 実の兄
いったいどうなっているんだ……。
トルイドは今南のアジトへ向かっていた。東西をとばしたのにはわけがあった。急に東と西のアジトから発せられていた信号が南へと集中しだしたからだ。
トルイドは途中で見つけた車を修理して研究所へ急いでむかう。
明らかに何かが可笑しいそう思えてならない。
研究所へと着いた。
「博士!!いませんか?」
全く返事がない。新しい研究所に移動したのか。そこには何もなかった。しかし、奥の方で何かが動くのを確認した。
「誰かそこにいるのか!」
「トルイド?俺だよ。」
奥から出てきたのは、資料館で本を見つけてくれた人だった。
「なんで私の名前を知っているんだ」
「その様子じゃ、やっぱり記憶を消されていたか……」
記憶を消されていた?こいつは何を言っているんだ。
「俺だよ。ニアだよ。名前を言ってもわからないか?」
「ニア?たしか夢に出てきたような……」
トルイドはこの間見た夢を思い出していた。
「俺は、お前の兄だよ」
「どういうこと?」
目の前にいるのがあの夢に出てきたニアという兄なら、あの夢は私の昔の記憶ということか?
「その様子だと、少しは心当たりあるみたいだな」
「はい、私はこの間ニアという兄とロボットから逃げる夢を見た。それに関係しているのか?」
ニアは笑顔を作る。
「夢で思い出したか。それはお前の消された記憶だ」
「消され……た?一体誰に?」
「ノートル博士だよ」
トルイドは驚きを隠せなかった。思いもよらない名前が出てきたからだ。
「ノートル博士がなぜ私の記憶を消したの?」
「簡単だよ。ノートル博士もまたロボットなんだ。しかも俺達の母親をモデルとしたな」
母親?
「じゃあ、あのノートル博士は何者なの」
「やつは三人目の幹部だ」
「う…嘘だろ。そんな事ありえないじゃないか。ノートル博士が私を作ったんだぞ」
「それは違う。俺たちをロボットとして蘇られたのは母さんなんだよ」
僕の母さんが?ロボットとして僕たちをつくった……?
「母さんは、俺たちを失った事を受け入れられなくてどうにかして蘇らせることは出来ないかと研究していたんだ」
「そこでたどりついたのが……アンドロイドってことなの?」
「そうだ」
「じゃあ、奴らはなぜ僕を狙ってきたんだ」
「それはな、あの戦線を終わらせたのは母さんが開発したウィルスなんだ」
それじゃあ、母さんが歴史上最も有名な科学者……。
「詳しく説明すると、俺たちを蘇らせる際に発見された。副産物だったんだ。だから奴らはお前を利用しお前を成長させながらノートル博士を使って研究していたんだ」
「ニアはなんで対象外だったの」
「俺は、お前ほどの完全体では無いんだ。お前は成長することが出来る機体だが、俺はできなかった未完成体だから対象外だった。他に質問はないか?ないなら早く奴らを止めにいかないといけない」
止めに行く?そう聞こうとした瞬間。レーダーが鳴り出した。トルイドはレーダーを見る。
「おい、なんだよこれ!!」
レーダーは範囲内全部に敵がいる事を示していた。
「もう、奴らが動き出したか」
「どういうことだよ!」
「第一次ロボット戦線の続き第二次ロボット戦線が始まったってことだよ」
「なんだって!!」
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