3-3 敵のアジト

「それは、仕方ないですね。そういえば、幹部の事について詳しくききたいのですが、幹部は3人いたとおっしゃっていたじゃないですか?どんなロボットが幹部だったんですか。」

「私もそこまではわからないな。詳しい事が知りたいのなら、資料館とかで探してみたらどうだ?確か、幹部について載ってる本があったと思うぞ。まぁ、そんなに重要な事じゃないから気にする必要はないだろう。」

「それより、幹部の場所がある程度絞れたんだ。この中のどれかだと思うんだが、これは実際に行ってみないと、わからないから。トルイドに行ってきてもらいたい。」

私が行くのか!だが私が博士の近くを離れたすきに敵が攻めてきたら、ただの人間の博士は簡単に殺されてしまうんじゃないのか?

「博士はその間、どうしてるんですが?残り一体ですが、幹部が攻めてきたら、博士を護る事ができないのですよ。」

「問題ないよ。簡易研究所を作ったから、そうそうバレることはないだろう。心配せずに、敵のアジトを探してきてくれ。」

いつの間に簡易研究所を作っていたんだ。もしや昨日、私が資料館や鉱山に行ったときなのか?いったいどこにそんな研究所を?

「そこまでいうなら、了解しました。ですが、研究所の場所を教えてもらえないでしょうか。」

「それはできない。」

なぜ、教える事ができないんだ?やはり、簡易研究所というのは嘘なのかもしれない。

「なんで教えられないんですか?」

「奴らがどこで聞いているかわからないこの状況で場所まで言ったら、危ないだろう。」

確かにそうだ。聞かないほうが情報が漏れることもない。どこから情報が漏れるかわからないからな。

「わかりました。とりあえず私は、北の方から潰していきます。」

「頼んだぞ、君にしか頼めないことなんだ。南の方は最後で良さそうだ。1番いなさそうな場所だったからな。」

博士は、モニターを確認しながら言ってきた。

「今日は準備をして、明日出発してくれ。」

心配事がなくなったわけではないが、向かわなければならないだろう

「了解です。」


その日の夜、夢を見た。

私は、家の窓から外を覗いている。その窓からは、大きなビルを見る事ができた。しかし、それは大きな音をたてながら、崩れていく。ついにここまで来たのか。

「リアム!?ここで何をしてるんだ。早く逃げるぞ!!」

少年が部屋に入ってくるなり、私の腕を掴み引っ張っていく。

「しっかり、兄ちゃんの後ろについてこいよ。わかったか!?」

少年は震えた声でそう言ってきた。

「わかった。」

家を出ると、目の前にあったはずの家は焦げ臭い匂いを出していた。あちらこちらから煙が上がっている。四方八方から嫌というほど人間の叫び声、泣き声が聞こえてくる。

私は、目に涙を浮かべる。

つい先日まで、友達と学校へ通っていたアスファルトの道は、赤黒い血で塗装されていた。

私は、その道を少年に手をひかれながら走る。

何も考えられなくなる。目の前の光景が信じられない。木で押し潰されていたり、大きな穴があいていたりする。近所の人たち。爆発音が、彼らの声の代わりをしているようだった。

「大丈夫だ。もう少し進めば母さんのところに着く、そこは安全なはずだ。」

少年は、諦めるなと必死に語りかけてくる。

少年が前を振り向いた瞬間、私は転んでしまった。立ち上がり、後ろを振り向くと、少年の体が倒れていた。さっきまで私を引っ張っていたはずの力強い手は、私の手の先でブランブランと揺れていた。

私は、喉が焼けるほど、泣き叫んだ。

「兄ちゃんが…兄ちゃんが…」

目の前にロボットが現れると、私の視界は斜めに傾きそして、涙と血で濡れた地面に落ちた。


嫌な夢を見た。妙にリアルで夢とは思えないほどのものだった。

私は、水を飲み、鏡を見ると泣いていることに気付いた。なんで泣いているんだ?そもそもなぜロボットなのに泣いているのだろうか。

涙を拭いながら家を出た。

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