3-2 奇襲?

私は、昨日見た夢がなかなか忘れる事ができない。妙にリアルで後味が悪い。

「どーなってるんだぁー!!」

私は、窓の外に顔を出し叫んでしまった。

「うるさいよ!!今何時だと思ってるんだ。」

「あっ…すみません…」

そういえば、今日はメンテナンスだった。走って、忘れよう。


ふぅふぅふぅふぅ。

流石に研究室まで走り続けるのは、辛いな。

「博士!!トルイド!!只今到着しました。」 

室内へ入った瞬間、謎の爆発音が響き渡る。

「博士!!大丈夫ですか。敵が来たんですか!」

こんな朝から敵が攻めてくるとは思わなかった。博士の身に何かあったら、どうしよう。手遅れじゃ無いといいのだが、煙で奥のほうが全く見えない、博士がいるのかすら判断する事ができないな。どうする、突っ込むか。それとも煙が落ち着くまでここで待つか。こんな事考えている暇はない。博士の安全が最優先だ!!

私が突っ込もうとすると奥から、

「ゴホッゴホッ。大丈夫だよ。今試作機を使っていたんだが、どうもうまく作れなくてね。」

博士は無事みたいだな。一安心だ。

「どうしたんだい?そんなところに突っ立って?入ってきなよ。」

数秒前まで入るか、悩んでいた自分がアホらしく感じてしまった。


室内へ入ると、まだ、煙が舞っていて焦げ臭かった。

「博士、いったいなんの試作品で何をしたらこんなに部屋を散らかすことができるんですか。」

「思ったより部屋が散らかったようだな。よし!ここを片付けるんだ。トルイドよ。」

「なんで私が片付けるんですか。自分がやったんでしょう?」

「ひどいな。せっかく君のための新しい武器を開発していたのに、作る気がなくなってきたぞ…ハァーーーーーー………」

博士はわざとらしく私を見ながら長いため息をこれでもかというほど続けた。

「しょうがないんで、そこまで言われたら、私も手伝いますよ。」

パパパッと片付け終える。


「よくできました。さすがトルイドくん!!」

お茶をたしなみながら、優雅に座る姿は古代の彫刻のように美しく見えた。

が、そんな事はどうでもいい。

「なんで、私だけ片付けているんですかね?」

「小さい男だな。君は、それよりこれを見てくれたまえ!!この間話した透明化したものを直視出来る眼鏡のコンタクトレンズ型だ。なんの問題もないから、つけてみてはくれないか。」

怖いな、さっき試作品とはいえ爆発物を作った博士の道具をつける勇気が私には出てこなかったが、博士の顔を見ると無理だとも言えない。私は、ゆっくり目に入れる。

「なんか、変な感じですね。砂みたいなで前があまり見えないので、実践じゃ使えなさそうですね。」

「ん?それは多分、砂みたいなものではなく、さっきの爆発で舞った砂だろうな。私が、爆発前に見たときはそんなものなかったぞ。」

「え?洗わずにつけさせたんですか?」

「そうだとも。」

はぁ、なんだこの博士はいつも変だが今日はやけに変だな。徹夜でもしていたのか?

「とりあえず、これ取りますね。それで武器は何かできたんですか?」

「出来たとも、みたまえ、見た目にこだわって作ったんだ。見た目にこだわった分、使い勝手は悪いが威力はすごいぞ。」

イヤな予感がする。

「どのくらいの威力なんですか?」

「さっきの爆発ぐらいだ。」

予感が的中した。私は、笑顔で

「すごーいなー、博士は武器ごみ完成させたんですね。」

「冗談だよ。冗談だからそんなふうに言うのはやめてくれ。」

博士は指輪を持ってくると、それを渡してきた。

「これが武器だよ。」

え?これが?ただの指輪じゃないのか。はめてみるが何も起こらない。数秒様子を見てみたが、どこも変化したようには見えない。

「ただの指輪じゃないですか!!」

「何を言っているんだ。君は。使い方が違うだろ、見てろよ。指輪とはこうやって使うんだ。」

博士は指輪をはめ、

「transformation handgunmode」

博士の手のひらで指輪が変形し、片手銃が出来上がった。

博士はドヤ顔になった。

「博士!これはすごいですよ。ですが、指輪の使い方以前の問題だと思うのですが?」

「close やれやれ今の指輪はこうやって使うんだよ。覚えておいたほうがいいだろう。」

博士の言う今は何年後の話をしているんだ。指輪が銃に変形したら、結婚指輪がなくなるんじゃないのか。


『僕と結婚してください!!』

『嫌です。』

『なんだって、じゃあ、死ね!!』

頭イカれてるな。


「他に何に変形できるんですか?」

「大体のものには変形できるよ。必要なのはimaginationさ!」

発音が妙に引っかかるが、話題を変えよう。

「透明化していた敵から、なにか情報を手に入れる事はできたんですか?」

「それがな、こいつが幹部の、一人だっていう情報しか、わからなかった。ここまで、きたルートすら残っていなかったよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る