おなら

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おなら

 みんなおならがとまらなくなってしまった。

 ぶうぶうぶうぶう、うるさいしくさい。

 しかし子を残さねばならない。

 だがやはり、セックスの最中もぶうぶううるさい。情緒もなにもあったものではない。

 しかし人間はすぐに慣れる。

 今日もぶうぶうおならをしながらくさい満員電車に乗り、くさいオフィスでぶうぶうおならをしながら電話に出る。

 得意先でおならをしながら新製品の脱臭剤を売り込んで、仕事が終わったら高級フレンチでおならがとまらない彼女とデート。

 帰っておならをしながらナイターを見て、里芋の煮物をつまみにビールを飲んでまたぶうーとおならをして。

 風呂に入って湯の中でおならをしてぼこぼこ泡を立てる。

 布団に入って寝る。おならがとまらず布団の中があたたかく、くさい。

 朝起きて一発目のおなら。ぶう、といい音だと、一日頑張れそうな気がする。

 そんな世界も悪くないな、と思いながら、すう、とおならをしたら、台所から妻が見ていた。

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