第13話 探り

学校に着いて、いつも通りの時間が過ぎた中、休み時間に、一緒に登校したり帰ったりする男の子達の中の一人が私に声をかけてきた。


「今日、いなかったけどどうしたの?」


私はその言葉だけで舞い上がってしまうほど嬉しかった。彼は特に仲良くて、そして私の席の近くの席にわざわざ座って話しかけてきてくれている!


「あ、ごめんね、言ってなくて。女の子達に誘われて…」

「そうだったんだ」


私は新しい感情の中の一つ―「私のこと本当はどう思っているか知りたい」という感情からか、相手の本当の心を知るために探りを入れるようになった。ダメだと分かっていたんだけれど。


「心配してくれたの?」


彼は少し黙ってから口を開いた。


「うん、少し心配した」


心が満たされていくようだった。少しでも良い! いじめと誹謗のせいで私、自分のこと「いらない人間」だって思って、ずっと自殺願望があったけれど、初めて自分は必要な人間だって思えた!

もしかして彼は私のこと好き、とか!! 勝手だけれど、私は彼が私のことを必要としてくれていると思うことが私の生きる意味だとその時思ったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る