俺は、夜のように眠る

 『だから絶対にオレは賭けに負けないよ』、と自信有り気に宣言した彼を見遣る。

 目尻が僅かに釣り上がっていて、口元も不敵に笑みを浮かべていた。


「絶対に、負けない?本当に?」


「本当だよ。オレはずっと、ユウのそばに居るから。明日もその次の日もこれからずっと、朝一番に『おはよう』をユウに届けるよ」


 これからずっと

 おはよう

 届ける


 羅列された言葉が脳内でリフレインし、嬉しさが込み上げた。けれど、言葉だけじゃ足りない。今口にした内容を絶対に守ってほしい。だからーーー俺は、約束が良い。


「太陽…約束、して」


「……もちろん、約束するよ」


 ゆびきりは出来ないけれど、俺達は口約束をした。


「…これで、安心して寝てくれる?」


 俺はコクリと頷き、テレビを消した後に部屋の電気を常夜灯に切り替えて、ベッドに上がって毛布の中へ潜った。枕に横顔を埋め、ベッド横で枕元に顔を寄せた彼に向けて『おやすみなさい』を口にする。


 彼は、ふわりと微笑んだ。


「うん。おやすみなさい。また明日」


 有るような無いようなといった彼の極微かな気配を身近に感じながら、俺の意識はまるで夜のように暗く深く沈んでいったのだった。

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