第5話 聖騎士(パラディン)の行方
「なあ、アスランテはどうした?ここに来る前に屋敷に寄ったが、居ないんでやんの。屋敷の者にも確認したが、誰も知らんらしい。突然旅に出るとか言って、大分前にフラッと屋敷を出て行ったんだってよ」
ロドリゴは赤毛を首の後ろで一つに括り、瞳は緑で少し浅黒い肌に露出の多い動き安い服装の上にローブを羽織った美丈夫だ。
「アスランテがねえ。・・・知りませんよ。それより、貴方が先程言っていた・・・」
「それそれ、エリザベスの魔力だよ。お前だって感じただろ?」
旅の最中巫女姫にしょっちゅう絡んでいたのは、このロドリゴだった。いつも、「うるさい」「あっち行け」といわれつつ、それでもしつこく絡んではますます嫌われていた。
ただし、凄腕の魔道師で、見目も良く女にモテた。
「ああ、そういえば微かに、巫女姫の魔力の様なものを感じがしましたね・・・」
「だろ!あいつ、また、こっちに来たんじゃねえの?」
嬉しそうに、ハッハアいって、犬かっ。
「さあ、どうでしょうか?城では今の所召喚を行った様子はありませんが、たしかに暫く前に『ゆらぎ』はかんじましたね」
「やっぱりそうか、おれも、あれって思ったんだよな。そしたら、今日になって、どこか遠いところでエリザベスの魔力を感じたんだよ」
「ならば、アスランテは巫女姫を探しに行ったのではないでしょうか?」
「アスランテがぁ?ナイナイ、アイツに限ってないわ」
「何故ですか?」
「だってあいつエリザベスに全く興味なかったじゃないか」
「・・・まあ、貴方は脳みそまで筋肉ですから、何も分かっていないだけでしょう?」
「はあ?」
貴方は、興味しんしんでしたがね。
私はモノクルに手を当て、少し角度を変えた。
「アスランテは、巫女姫に恋していました。最初から魂すいとられてフヌケてましたと思います」
「そんなわけあるかよ。あいつ、いつも知らんふりしてたじゃないか」
「いいえ、アスランテほど巫女姫を思っている者はいませんでした」
「俺、お前の言ってる事まったくワカラン」
「そうでしょうとも。ですが、もし巫女姫がこちらに戻られたならば、彼は探しに行くでしょうね」
「それなら、俺達も行こうぜ」
「はあ?何故ですか?」
「あいつだけじゃ見つからないからさ、俺達がいないと駄目だろう?」
「よけいな事です。おやめなさい」
まったく、この脳筋と来たら、自分の気持ちにさえ気づいてないと来た。よけい面倒臭すぎる。
また、ここで、この魔道師が間に入ってしまえば、ややこしくなる。
「とにかく、アスランテは巫女姫が居ないと死んだように過ごしていましたから、彼には必要な方でしょう。探す気力が出たのならば、暫くそっとしておくのが良いのです。あの魔力の気配が巫女姫のものならば、少々の事はご自身でなさいます。そう、七年もご指導してきたのですから」
「いやあ、そんな事ねえだろ、どんくさかったじゃねえか。飯マズだし、何やらしてもたよりなくってさあ」
「いいえ、巫女姫様は1000年に一人の逸材でした。アスランテが動いたのならば、貴方は邪魔です。動く必要はありません」
私が、これだけハッキリ「お前は出でくんじゃねえ」と言っているのに・・・。
「えー、そんな事言われても、俺ヒマだし、やっぱエリザベス探しに行くわ―」
ロドリゴはいつものごとく、人の話を全く聞かずに、来た道を爆走して帰って行った。
「はーっ。何て面倒な・・・」
腐っても、三賢人。巫女姫の魔力の気配がした方向がわかるのであった。
仕方ない、私も出かける用意をするか。
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