第10話 待ちわびた夏


救いの手が差し伸べられるのはいつか

月への階段に足を踏み入れるのはいつか

時は長くゆったりと進む

痺れをきらして 海に飛び込む若者

時の宴が冥土の土産

軽いお守りを持ち合わせて

向こうでも寂しくないように

誰がために 浜辺に卵を残す

美しい銀河の蛇と

私を匿う魔女

可愛げのない犬を連れて 金言を海にばら撒く

あなただけの贈り物

誰かの子供を月に吊るして 神を待つ

奴隷のように扱われた子供の遺骸

いない子供を待つ為の鈴

音色は未だ奏でられない

けれど 音が鳴るまで 待つ

わたしが いないと さびしいでしょう

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