第11話 5月20日


1人暮らし歴は約7年程になる。


もともとマイペースな性格もあってか、この暮らしは楽しい。

食べたいものを作ってゆっくり食べられる。

好きな雑貨や家具を選べる。

自分の城を作るにはもってこいの1人暮らし。


細かい作業や淡々とした作業も好きなので家の整備も自分でできる。

なにより大家さんが大変に良い人で、

1週間に1回家の周りや、私ではできない部分を整備してくれるのだ。

テラス先には遊歩道があって、そこの桜並木が良く見えるように

庭の手入れもしてくださる。

そのおかげもあってか今年は家からお花見をすることができた。


1人暮らし万々歳である。


とはいえども。

やはり1人で困ることもあるというもの。

1人分のみを作るというのは難しくて、料理をすれば大量の作り置き。

大きめの虫が出てしまった時。

病気になった時。

大なり小なりケガをしたとき。

不安になった時・・・等々。


ここでひとつ最近、というかついさっき思ったことを話そう。


普段からあまり頻繁にスーパーには行かないのだが

今の情勢もあってますます行かなくなった。

なのでいざ行ったときには1週間以上分の食材を調達しなくてはならない。

この日の買い物リストを挙げてみよう。


・水(1ℓ)

・牛乳

・玉ねぎ

・ピーマン

・白菜

・豆腐

・キムチ

・油揚げ

・お刺身こんにゃく(柚子みそ)

・食パン

・チーズ

・卵

・ヨーグルト

・白だし

・コンソメ

・ツナ缶

・お菓子各種


大変だ。


まあまず水と牛乳が被るあたりやってしまった感がある。

水は水道水でもいいのだが、冷えた水を飲みたいときはやはり天然水がいい。

常温で飲みたいときは1度沸騰させてからというこだわりがある。

そんなことは今はいい。


何回もスーパーに行くのは癪なのでこの日も頑張った。

頑張ったが大変なことにはなった。

カバンが重すぎて、家までの岐路に2倍の時間を要した。

肩も指も真っ赤でまだ痛む。


「もう1人いればな。」


自然とこんな言葉も出る。

彼氏がいたときは一緒にスーパーに行き

1人の時よりも買えるものが多かったのでいいなという記憶が蘇る。

車を持っているわけでもないし、自転車も使っていない。

1人暮らしは好きだとはいっても物理的に大変なこともある。

だけど正直なところ、こうやって大変なことがあった時に

ひーひー言いながらも


「ふう。」


と頑張った自分にお疲れ様と声をかける時間は嫌いではない。

今日は暑かったから帰ってきてすぐにシャワーを浴びたのも

明るいうちにお風呂に入って夕日を見ながら湯冷ましできた時間も

悪いものではない。

少しさっぱりしたものが飲みたい。


・なんちゃってラッシー

少し長めの大きいグラスを用意する。

グラスの3分の1に好きなヨーグルトを入れる。

砂糖を大さじ2入れる。

牛乳をグラスいっぱいまで入れる。

混ぜながらレモン果汁を好きな量加えて完成。


すっきりさっぱり、レモンが効いていて美味しい。

暑い日の夜の贅沢時間に飲んでいる。

夕日のオレンジ色とレモンが妙に合っていて

とても素敵な時間になる。オレンジじゃなくてレモンだけど。


またしばらくはスーパーに行かなくて済む。

お城にこもって王様気分で1人暮らしを楽しむのみだ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る