第10話 5月17日


こんなに気持ちがムカムカするのは低気圧のせい、そう、誰も悪くない・・・はず。

犬カフェであんなに心が乱れたのに今度は感情が乱れてしまった。


雨は降っていない。重い雲が圧し掛かる見事なまでの曇り。

そして爆弾低気圧を全身で感じていた。


「目が・・・回る。」


起きたときに低気圧かどうかはだいたい分かる。

第一に目が回って、体が重い。

起き上がると頭が回って更に目が回る。

今日はそんな朝だった。と言ってもすでに12時だけれど。


あまりに目が回って頭が痛いので立っていられず、

ひとまずいつものミルクティをちゃちゃっと作ってじっとする。

ご飯は・・・今は入らないと思う。

昼夜逆転してしまっているので常に寝不足状態もあってか、

この日の調子はあまり良くなかった。


ミルクティを半分までゆっくり飲み、ブランケットを抱えたまま携帯に手を伸ばす。

Twitter、Instagram、LINEなど、一通り目を通さなければ。

勿論彼からの連絡も、来ている。

ここで私の感情に大波が訪れることになる。


さて、お決まりの大前提をご紹介しましょう。

年上の男性から告白されましたが、私は返事をしていません。

まだ分かりませんと答えていて、お返事はいつででも待つと言ってくれています。

以上、大前提のコーナーでした。


この前提で日々連絡を取り合っているのでこんなことが良くありました。


「この俳優さんめっちゃタイプなんですよねー。」

こういうイケメンが好きなんだ。

「イケメンというよりもジャンル?がこの顔に寄りがちかな。」

あ!じゃあこんなおじさんはだめだね!悲しい!分かった!

「・・・まだそんなこと言ってないのですが笑」


だとか。


「犬カフェすごく興味あって。」

わかる!一人でも行こうかなって思うもん。

「一人は流石に勇気ないんですよ笑」

保護者が必要かな?笑

「あ、要ります!お父さんお願いしますね。」

そっか僕はもうお父さんという立ち位置なんだね。失恋って辛いね。

「・・・。」

もうそうなったってことなのね・・・いいよ父さんといこうな・・・。

「・・・・・・・。」


あ、これは先日の犬カフェに行きましょうのお返事の後のやり取りである。

さてみなさんどう思いますでしょうか。

本当にこういう場面が多いのだ。

この日もこの流れの長文が送られてきていて、ため息をついてしまった。

うん、分かる、私も冗談は言うし、その流れを作っているかもしれない。

だがしかし。だがしかし!


「あーもう、頭痛い。」


こうなった時私が言える言葉はこれしかない。


違います。


正直私は待たせている立場。偉そうなことを言える立場ではないと思いつつ。

こうまで早合点されてしまうと、待つ気、あるんか?

というのが私の素直な感想になってしまう。

こんな朝にこの流れはいつもより倍頭に響いてしまった。


年上とはそういうものなのか?

これを低気圧のせいにしてよいのかどうか分からない。


残りのミルクティはもう冷めていて、味も覚えていない。








―――――――――――――――――――――――

筆者談:書きながら登場人物に非常にイラつくという不思議な感覚でした笑

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