第4話 5月6日
15時に起きてしまった。
今日は雨らしい。少し肌寒くて、遠くで雷も聞こえる。
机の上には口を開けたままのノートパソコンにイヤホン、
ゴミはさすがに片づけたのか、偉かったな自分。
昨日は友達とテレビ電話をしたのだが、ゆうに9時間を超えたおしゃべりに
腹を抱えて笑って幸せな眠りについて、そしてこの様である。15時。
最近の悩みを一人で抱えるのは限界になった。
それをぽろっとSNSでこぼしたところ
しゃべろうと誘ってくれたのがこの友達。
・・・・・・・・・
夜21時くらいでどう?好きな飲み物とお菓子用意して。
すぐに、分かった!楽しみー!と返事が返ってくる。
現在時刻19時30分。夜ごはんも食べてお風呂も入らなくてはいけないな。
お風呂を早々にすませ、さて腹ごしらえ。
卵かけご飯
卵一個を白身を切るようによく混ぜて、醤油、鶏ガラの素を少し入れる。
混ぜた卵の上に暖かいお米を乗せちゃんと混ぜる。
お刺身こんにゃく柚子みそ添え
これに関しては出来合いのものを買ってしまった。
こんにゃくはちゃんと水で洗ってその水気を取るのが大切。
お刺身で食べるならなおさら。
だんだん自分流の食べ方が生まれてくるから一人暮らしも悪くない。
本当はお味噌汁を作るためにお湯も沸かしていたのだが
流石にその時間はなさそうなので、今日は渋めに出した紅茶を作る。
こんにゃくに紅茶は・・・分かってはいるがお湯を無駄にはできない。
21時03分。
LINE通話で呼び出せばすぐに出てくれる友達。
声聞こえる?
「聞こえる―!でもちょっと遅延が目立つかも」
確かに。どうしようスカイプにしてみようか?
「おーけー!スカイプ名送っとくね!」
まだリモート飲みなるものはしたことがないから
飲みではないにしろこれがデビューになるわけだ。
パソコンのカメラは元からついているが、ウイルス対策でマスキングテープが張ってある。外してみると柄が少し写っていた。それくらいには使っていない。
自分がカメラに映ることを確認してコールボタンを押す。
「あ、映った!見える―?聞こえるー?」
見える見える!すごいねー音質もいいし。
「表情見ながら話せるからこれいいですね~」
こんな時期だから会えないしねー。
「で、表情から察するに、何があったの?」
うん・・・実はね。
昔別の友達にこんなことを言われたことがある。
相談するっていうことはすでに自分の中で答えは決まっていて
それを後押ししてほしいだけ。
意見を頂戴ではなくて、応援してねという事だよね。とのこと。
その時はなにも反応できなかったのだけど今は分かる。
私の考え方や生き方を見て友達として側にいてくれる子は
私が悩んでることに対して一緒に悩み、ちゃんと考えてくれる。
私自身こうしたほうがいいよという意見よりも、私の頭の中を整理させてくれる。
そんな存在が私にとってとても有難くて、尊い。
そう思っていることさえ見抜かれているだろう。
「そっか。大変だったね。そこで分からないって答えたのは間違いじゃないよ。」
でもずるくない?生殺しにしてるってことだもん。
「早く答えが欲しいとは思ってると思う。でも待つって言ってたんだよね?」
うん。すぐに答えが出ないとも言ったから。
「あなたの蛙化現象もあるしね(笑)」
・・・うん(笑)
この子は私の元カレのことや、蛙化現象も知っている。
でも絶対に責めたりしない。こう言っては何だけれど必ず味方でいてくれる。
「あの子も呼ぼうか。ほかの意見を出してくれるかもよ。」
いいね!連絡着くかな。
もう一人仲の良い友達がいる。
今まで話していた子はとても女の子らしくて可愛いものが好き。
背は私より小さくて守ってあげたくなるような優しい子。
そしてもう一人。その子は私と背が同じくらい高くて
意見も考えもしっかり持っていてクールな女の子。
だけど時折見せるおちゃめな部分が癖になる。
『呼んだー?これでいいのかな?』
来た!今大丈夫なの?
『大丈夫よ。お姉さまに話してごらんなさい。』
『なるほどね。』
分からないって言ったのは自分だけど、その答えにも悩んでるの。
『たぶんね、話を聞いてると、今あなたは付き合うつもりはないと思う。』
うん。
『この先じゃあ試しにって付き合ってもあなたは我慢をすると思う。』
・・・うん。
『そして相手を傷つけるくらいならって自分を傷つけていくのも見えた。』
怖い(笑)
「でもね、私もそうだと思う!今自分の優しい性格が自分を苦しめてるよ!」
『それな。』
優しいとは時に良くは働かない。それは25年間生きてきて分かっている。
ただやはり自分はそうやって生きてきたから今更変わることはできない。
「難しいよね。悩むよね。でもそうやって悩ませるの私気に入らない!」
というと?
「だってさ、付き合ってから考えてもいいからとか、必ず好きにさせるからって言われてないじゃん?僕は好き、付き合いたいっていうのをぶつけておくね、って状態なんだよ今!」
・・・確かに。良い答え待ってるからって言われてる感じ。
『もーやめちまえよー。』
それは草です(笑)
やめちまえよはさすがに笑う。
こういうところがやはり友達、自分じゃ言えないことを沢山言ってくれる。
私の友達たちは、まずは私が話しきるまで必ず待ってくれる。
私が頭の中にある言葉を全て出し切るまで。
そしてそれに対して思ったことを言ってくれる。
言葉が外に出たことで少し容量に遊びができた頭には、
言ってくれた言葉が素直に、綺麗に、優しいまま入ってくるのだ。
『少し、すっきりできた?』
うん、少しだけ、なんとなくだけど。
『そっか良かったよ。ではひと口。』
お酒飲んでたんかい(笑)
・・・・・・・・・
それからはお互いの近況やダイエットについて、
家から出られるようになったら何をしたいか、どこに行きたいか
会いたいね、またこのリモート女子会計画しようなど
終始笑いっぱなしの話が続いた。
9時間にも及ぶわけだ。
今日はジャスミンティーを氷たっぷりにアイスで。
女の子らしい香りに包まれたかった。
女の子という生き物はとても難しい。
透明なガラスに氷が透けて、カランっと音が鳴るたびに涼しげで
昨日までの夏日を思い出して少し心が晴れやかになる。
悩むことは仕方ない。それだけ真剣に考えてるという事だから。
氷が解けるまで、このジャスミンティーはゆっくり飲みたい。
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