5. シナリオ本編 -ミドル3

■ミドル3:想い人の決戦


「■ミドル1:遺跡からの脱出」のどこかで同じ判定を全員が3回失敗していた場合は「最終戦闘前分岐1、遺跡探索に時間をかけすぎた場合」、そうでない場合は「最終戦闘前分岐2、襲撃阻止の大決戦」の描写を行い、その後はいずれも「共通描写」に移ります。


▼描写:最終戦闘前分岐1、遺跡探索に時間をかけすぎた場合

太陽は今にも地平線の向こうに沈みかけんとして居る。

そんな中、君たちは、無事に蛮族たちの集合場所にたどり着いた。低レベルの蛮族が中心とはいえ、かなりの大軍のようだ。

(レウコトエが生きている場合)レウコトエが、ぴたりと足を止める。「……? おかしいな。ここはただの集合場所のはずだが……誰か、戦っている?」

君たちの目の前で、蛮族たちから突然怒号と歓声が上がった。

彼らは汎用蛮族語で、「冒険者襲ってきた!」「ボスがやっつけた!」「ボス、強い!!」と騒いでいる。

遠目に見ると、敵の大将らしき竜が、冒険者相手に爪を奮っているところだった。

冒険者の身体はボロ雑巾のようになりながら吹っ飛び、君たちの目の前に落ちてきた。見れば、右腕が千切れてしまっている。

PC1は、その冒険者に見覚えがある。君の想い人のアポロだ。(レウコトエが生きている場合、彼/彼女も「アポロ!?」と驚く)

カレンデュラが呻きながら、手にふわりと光をまとわせた。光妖精魔法で回復しようとしているらしい。妖精の光が体に触れた瞬間、アポロは薄く目を開いた。

「PC1……? 生きて……たのか?」

「俺は、お前の、仇がとりたくて……ああ、でも、生きてたなら、よかった……」

アポロが小さく笑った瞬間、竜の咆哮が聞こえた。敵の大将が、君たちを見つけてしまったらしい。

カレンデュラが小さく息を呑む。

「PC1、あいつだよ! PC1は覚えてないかもだけど……あいつが君を殺したんだ!」


▼描写:最終戦闘前分岐2、襲撃阻止の大決戦

太陽は今にも地平線の向こうに沈みかけんとして居る。

そんな中、君たちは、無事に蛮族たちの集合場所にたどり着いた。低レベルの蛮族が中心とはいえ、かなりの大軍のようだ。

蛮族の軍に対して、2匹の比較的高位の蛮族が、指揮をとっているのが見える。

そのうち、片方の蛮族が、どうやら敵の大将のようだ。君たちが敵の大将を見定めた時、カレンデュラが小さく「あっ」と声を上げた。

「PC1、あいつだよ! PC1は覚えてないかもだけど……あいつが君を殺したんだ!」

その言葉を聞き終わるか否かというその時、その大将のすぐ近くの茂みから、突然一人の冒険者が姿を現した。

PC1は、その冒険者に見覚えがある。君の想い人のアポロだ。(レウコトエが生きている場合、彼/彼女も「アポロ!?」と驚く)

「ようやく見つけた! よくも……よくもPC1を!」

アポロはそう言って敵の大将に斬りかかるが、次の瞬間、敵の姿が竜に変化する。間髪入れず振るわれた鉤爪に不意をつかれ、アポロの身体は思い切り宙を舞った。

アポロは、君たちの目の前に落下した。必死で立ち上がろうとしているが、敵の鉤爪に思い切り腹を割かれ、満身創痍で、今にも倒れてしまいそうだ。

(PCたちが話しかけた時)「!? 君たちは一体!!?」

(PC1が話しかけた場合)「PC1!? 本当にPC1なのか……? まさか……ああ! よかった、生きてたんだな! 本当に良かった…!!」※アポロは、PC1が幽霊なことに気づいていない


▼描写:共通描写

なお、アポロは街を出る前に「嫌な予感がする」と街の警備隊にも話を通していたようで、騒ぎを聞きつけた一般兵たちが続々と集まってきているようです。低レベルの蛮族の群れは、彼らが対処してくれます。

(レウコトエが生きている場合)レウコトエははっと気がついたように一般兵たちの指揮を取りはじめ、ざわめく蛮族たちの一団に、次々と兵を向かわせています。


カレンデュラは、氷の破片を当たり一面に精製して蛮族たちにぶつけつつ、「僕、戦うのそんな得意じゃないんだけど……雑魚どもが、君たちの邪魔をしないように払っておくくらいはできるから! 後はお願い、みんな!」と叫びました。

いずれにせよ、敵の大将は君たちを「倒すべき強敵」と認識したようで、真っ直ぐに襲いかかってきます!


■最終戦闘

※夜の戦闘です。

【エネミー】

ドレイク(竜形態)×1体:基本ルルブⅠp449 ★剣のかけら入り ※この個体は現在、能力「▼瞬時人間化」が使用できません。

オーガ×1体:基本ルルブⅡp377

ケパラウラ×1体:基本ルルブⅠp446

ボルグヘビーアーム×(PC人数-2)体:基本ルルブⅠp443

【配置】

前線エリアにオーガとボルグヘビーアーム。敵軍後方エリアにケパラウラとドレイク(竜形態)。

【基本戦術】1ラウンド目は、ケパラウラが自身以外のエネミー全体に「ファナティシズム」を撒き、ドレイクは前線エリアに移動したうえで「光のブレス」を使用します。他エネミー・他部位は全員武器攻撃で攻撃です。2ラウンド目以降は状況を見つつ、好きに動いてください。

※PC達のデータを確認したうえで、GMはこの戦術に従わなくても構いません



なお、竜化したドレイクは、戦闘前に「亡霊共か。くたばり損ないがどれほど寄り集まろうが、俺の敵ではない!」と吠えます。特にPC1を見ると、「おや、見た顔だ。怨霊となって、俺を祟りにでも来たのか?」と煽ってきます。

ちなみに、このドレイクはレウコトエの異母兄で、オーガは、瓦礫のところでレウコトエと話していた「バカでかい声」の主です。


戦闘に勝利したら、以下の描写に移る。


▼描写:勝利後

君たちは戦闘に勝利した!

君たちが敵の大将を屠ったのを見て、周囲に居た低レベルの蛮族達は、「ボスがやられた! ひぃい!」と哀れな叫び声をあげて逃げていく。もう君たち人族の脅威ではないだろう。

君たちのすぐ近くで戦っていたアポロも、ほっと安堵したような顔をして、すぐにPC1に向かって駆け寄ってきた。(※「遺跡探索に時間をかけすぎた場合」を経由している場合は、左足を引きずりながらやってくる。右腕がもげているのは相変わらずだが、おそらく左足ももう駄目だろう)

「PC1! もう、もう二度と会えないと思ってた……。本当に良かった。君を瓦礫の下に残してきてしまって……俺のせいで、君が死んでしまったと思いこんで、俺は……」

アポロは何か言おうとして、そのままがくんと崩れ落ちる。

どうやら、満身創痍のまま随分無理して戦っていたらしく、気絶してしまったようだ。

カレンデュラが君たちの後ろから覗き込み、「あちゃあ」と声を上げる。

「作戦決行は……一度街でゆっくり休んでからにしよっか。こんな状態じゃ、ちょっとね」

「アポロは僕が背負ってく。君たち、触れないでしょ?」


一言二言会話して、街まで移動します。

なお、もしレウコトエが生きている場合は、以下の「レウコトエの告白」の描写に移ります。


▼描写:レウコトエの告白

カレンデュラはアポロを背負い「じゃ、この人のこと、先に神殿にでも放り込んでくるねー」と言って、ぴゅーっと先に街に向かっていく。

レウコトエは彼らが去っていったほうをじっと見つめていたが、次の瞬間、意を決したようにPC1に話しかけてきた。

「今日は……本当にありがとう。君たちが居なかったら、本当にどうなっていたかわからない」

「妹を監禁していたオーガも、倒すことが出来たから……。今夜、私はこのまま妹を助け出してこようと思うんだ。ようやく、きょうだいでまた暮らすことができる。本当に、本当にありがとう」

「ただ、その、その前に。さっきの戦いを経て、決意したことがあって……。それを、どうしても君に聞いて欲しいんだ。私は、君をとても大切な友人だと思っているから」

「アポロの街では、今夜から3日間『星霊祭』と呼ばれる祭りが行われるそうだが……。星霊祭には、言い伝えがあるらしいんだ。……街の真ん中の大きな木の下で恋人同士になると、永遠に幸せになれるという言い伝えが」

レウコトエは、おろおろと視線をさまよわせてから、ぎゅっと目を瞑りながらこういった。

「だからその。私は、明日の夜、そこでアポロに告白しようと思う」

「あっしまった。順番が前後してしまったな。……つまりその、私は、アポロが好きなんだ!」

顔から湯気が出そうな真っ赤な頬でそう言い切ると、レウコトエはぱっと両手で顔を覆い、背を向けた。

「う……な、なんというか、思ったより気恥ずかしいな。すまない。ただ、一番の友人である君には、事前に伝えておきたくて」

「もちろん、アポロに受け入れてもらえるかはわからないけれど……とにかく、当たって砕けろだ。もう、私はやらなくて後悔することは嫌なんだ!」

「そ、それだけだ。それだけだから……その、また明日!! 妹を迎えに行ってくる!!」

……レウコトエはそのまま走り去っていく。あちらもあちらで気恥ずかしさの余りパニック状態だったようで、君の表情は目に入っていなかったらしい。


いずれにせよ、20分程度歩けば街に着きます。

今の状況に関して、PC同士で会話しましょう。会話が一段落したら、次の描写に移ります。


▼描写:星霊祭

街の雰囲気は、お祭りで浮かれている。まるで、蛮族の襲撃計画など無かったかのようだ。

もちろん、「蛮族の襲撃が計画されていたようだ」という話は警備隊から街全体に通達されているようだが……それも「その蛮族たちは既に退治されています」という情報付きなので、お祭りを中止しようなどという話にはならないらしい。

街の中心の広場には、大きな木が立っている。

どうやらこの木は大昔、「リルズ」という縁結びの小神を信仰する旅のメリア神官が植えたものらしい。

君たちが街の片隅で休んでいると、カレンデュラが「いたいたいたー!!」と飛んでくる。

「アポロは、とりあえず目についた神殿に突っ込んどいたよ。そしたら神官さんが、ぱぁあああってして、あっという間にアポロの傷治しちゃった! カミサマってよくわかんないんだけど、なんか便利なんだねー」

「ってわけで、アポロは無事です! レッツ告白、ゴーゴー!」


PC1が実際に告白するかどうかは、自由です。

カレンデュラはPC1に告白するよう促しますが、無理強いはしません。

他のPCとも話し合いつつ、PC1の意思を尊重して、告白を実行するか否かを決めてください。次の「告白する場合」「告白しない場合」それぞれのシーンを参考にして、進行します。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る