3. シナリオ本編 -ミドル1
■ミドル1:遺跡からの脱出
▼描写:瓦礫
PC1とカレンデュラが話していた場所だ。たくさんの瓦礫が積み重なっている。
「幽霊だから、もしかして通り抜けられたりしない…?」とカレンデュラが言い出すが、試してみても、身体がビリビリして通り抜けることが出来ない。どうやら瓦礫に魔力がこもっていて、霊体の通り抜けを阻害しているらしい。
どうしようか、と君たちが悩んでいると……ふと、誰かがすすり泣く声が、瓦礫の向こうから聞こえた気がした。
●聞き耳判定:目標値9
失敗すると、何も聞こえない。
成功すると、「ごめんね、PC1。ごめんね……」と誰かが泣いている声が聞こえる。(もしPC1が聞き耳に成功していれば、この声はレウコトエの声だということに気がつく)
いずれにせよ、その直後、バカでかい声があたりに響き渡ります。
▼描写:バカでかい声
バカでかい声があたりに響き渡った。どうやら、瓦礫の向こう側に居る誰かが、こちらの存在に気が付かずに会話を始めたらしい。
バカでかい声とは別に、まだすすり泣きが聞こえているので、どうやら、瓦礫の向こうには少なくとも二人いるようだ。
バカでかい声の内容は、以下の通りだ。
「おいいい!!レウコトエぇええ!!おめぇえ、うまくスパイできてるかぁあ!!」
「あん?? おらの声でけぇって?? うるせぇえ!! おめが、バルバロスの癖に、バルバロスの言葉わかんねっつうから、わざわざ人族の言葉話してやってんだ!! おらのインテリジェンスに感謝して、声のでかさくれぇ、おめが我慢するのが道理だろぉおお!」
「よし、わかったならいいぃ!!」
「とにかく、今夜の作戦はぁ、おめがうまーく冒険者ども騙せるかにかかってんだぞぉおお!! がんばれよぉおお!!」
「街ひとつぶっつぶせるなんて、最高だよなぁあ!! 腕がなるぞぉお!!」
「あん??文句言うんじゃねぇえ! 作戦終わったらちゃぁんと会わせてやるからよぉお!!」
なお、先程の聞き耳判定に成功しているPCがいる場合、これに加えて、バカでかい声が話しかけている対象である「レウコトエ」の声も聞こえます。
○情報:レウコトエの返答
バカでかい声に邪魔されて聞き取れない箇所も多いが、部分部分から、大体以下のような事情が推測できる。
・レウコトエは、自分のことをPC1やアポロには「ナイトメアだ」と説明して、常にフード付きのローブで顔を隠していたが、実際はどうやら剣無しのドレイクだったらしい。
・同じく剣無しのドレイクである双子の妹と身を寄せ合って生きてきたが、異母兄ドレイクに妹を人質に取られて強制され、スパイとして人族の街までやってきていた。
・もともとレウコトエの異母兄ドレイクは、人族の街への侵攻を企んでおり、数年前から人族の街で情報工作を行っていた。レウコトエのスパイ活動は、その一環らしい。
・バカでかい声の主は、異母兄ドレイクの部下であり、レウコトエにとっては上司に当たる存在。実際にレウコトエの妹を人質として監禁しているのもこいつらしく、レウコトエはバカでかい声の主の機嫌を損ねないように必死。
・ただ、レウコトエは長年の潜入期間を経て、若干人族側にほだされかけているようで、割と嫌々異母兄たちに従っている様子。
なお、PCたちがなにかレウコトエに対して話しかけようとしても、バカでかい声に遮られて、あちら側には何も聞こえません。
しばらくすると、バカでかい声とともに、レウコトエの気配も遠ざかっていきます。
▼描写:真実を知って
カレンデュラは顔を真っ青にしています。
「ね、ねえ……今夜の作戦、って言ってたよね。これ、結構まずいこと聞いちゃったんじゃない?」
「街を襲撃するっぽかったけど……。この遺跡の近くの街って言ったら、アポロの故郷の街じゃん。アポロも、今日は故郷に戻ってるだろうし。大変だ!」
「もし、この蛮族たちの襲撃で、万が一アポロが死んじゃったら……またPC1、告白できないじゃん!! そんなの最悪だよ!!」
「蛮族たちの襲撃を阻止して、絶対にPC1を告白させるんだからー!!」
「そのためにはまず、この瓦礫どけて、遺跡を脱出しないと!」
遺跡からの脱出ルートを探しましょう。
●探索判定☆:目標値15
なおこの判定は、失敗しても2回までは再チャレンジできます。ただ、パーティ全員が2回失敗すると、時間がかかりすぎたために不利益が生じます。後半の描写では「遺跡探索に時間をかけすぎた場合」を参考にしてください。
※以下、☆マークがついた判定に関しては、同様に扱います。
成功すると、以下の内容がわかります。
○遺跡のゴーレム
遺跡の壁に、隠し扉を発見した。中には停止中の大きなゴーレムがいる。魔法文明語がわかるPCがいれば、ゴーレムの背中に「工事用・緊急時用。起動者のいうことを聞くように設定してあります」と彫られていることがわかる。
いずれにせよ、非常に力持ちそうなゴーレムだ。これを起動することが出来れば、瓦礫を退けて、君たちが通行できるくらいの通路を作らせることもできるだろう。
ただ、君たちがゴーレムの起動スイッチを押そうとすると、身体がすり抜けてしまう。霊体では、物理スイッチが押せないのだ。
……そんな中、あなた達の足元を、ネズミがチューチューと鳴きながら駆け抜けていく。遺跡によくいる小動物だが……
次の判定に移ります。
※なお、ルーンフォークやゴーレム使いなど「物理的な体を操ることができる」PCがいる場合は、以下の判定を飛ばしてスイッチを押すことができます。その場合、PCが望むなら、「判定回数が減るが、よいか?」と全員に確認の上、「▼描写:ロボットは浪漫」まで飛ばしてもよい。
●見識判定☆:目標値15
成功すると、以下のようなことを閃きます。
○情報:憑依
幽霊といえば、憑依。憑依といえば幽霊だ。
もしかして、あのネズミたちに憑依すれば、物理的にゴーレムのスイッチを押すことができるのではないだろうか。
以下の判定に続きます。
●精神抵抗判定☆:目標値16
成功すると、ネズミに憑依して、精神を乗っ取ることが出来ます。お前が私の新しいボディだ!!
ネズミに憑依して、先程のゴーレムのスイッチを押すことができます。(ネズミの憑依自体は、「憑依解きたいなー」と思ったら勝手に解けます。戦闘までには解いておいてください)
いずれにせよ、ゴーレムは、起動者が命じたとおりに動きます。が、平和利用用のゴーレムなので、他者を傷つける用途には使えないことに注意してください。
ゴーレムを見ると、カレンデュラが話しかけてきます。
▼描写:ロボットは浪漫
(ネズミに憑依し、ゴーレムを起動したPCに)「すごいすごい! 君、かっこいいね!」
「これだけ力持ちそうなゴーレムなら、瓦礫の撤去だってできちゃうよ! 早く瓦礫を退けて、遺跡を脱出しよう!」
とはいえ、瓦礫の全撤去には時間がかかりそうです。
カレンデュラは「通れるようになるまで、休憩しよう」と提案してきます。
▼描写:妖精の恋バナ
カレンデュラは、PC1をじっと見て「そういえば、僕、ずっと気になってたことがあるんだけど……」と話しかけてきます。
「君、アポロのどんなところが好きになったの? というか、好きになったきっかけとかって、あったの?」
PC1は、「自分がアポロを好きなところ」「好きになったきっかけ」を妄想して、一生懸命惚気てください。
カレンデュラはにこにこと聞いてましたが、惚気がひと段落すると、「ちょっと、そこらへん散歩してくるね」と言い出します。
→カレンデュラにコミュニケーションを取りたがっているPCがいればそのPCに、特にいなければランダムで決めたPCに対して、カレンデュラが、「ちょっとお散歩付き合ってよ」と話しかけに行きます。
▼描写:妖精の独白
(PCが散歩に付き合ってくれた場合)カレンデュラと君は、しばし散歩に出向いた。しばらく無言で歩いた後、カレンデュラは目を伏せたまま微笑んで、PCに対してお礼を囁く。そのまま、ぽつぽつと言葉を漏らしはじめた。
(PCが散歩を拒否した場合)カレンデュラは「えー!ひどい!そんな事言わずにちょっと聞いてよー!」と両手を振り回しつつ、「……お願い。誰かに吐き出したいんだ」と深刻そうな声音で話し始めます。
(以下共通)「ねえPC。僕、なんだかよくわからなくなってきちゃったんだ」
「僕、ずっとPC1とお話ししたくってさ。僕はPC1がアポロと話してる時の笑顔と声が本当に好きだから、PC1からアポロの惚気でも聞けたら最高の気分になれるんじゃないかって思って、さっき聞いてみたんだけど……何故か、胸の奥がもにょもにょするんだ」
「へんだよねえ。困っちゃうよ。なんか間違えたかなぁ、僕……」
「……あ、でも、もちろん、告白作戦は決行するよ! 君たちに協力してもらってるし、なにより、PC1のためにも、未練は解消しないとだしね!」
上記の会話が終わった後、その他PC間で雑談・やりたいシーンなどあればこのタイミングで行います。
全員の会話にひと段落ついた時が、ゴーレムが瓦礫をどけ終えるタイミングです。
瓦礫の通路を通って、遺跡の入口まで進みましょう。
ちなみに、瓦礫の下にはPC1の死体も埋まっています。PCが希望するなら発掘することも出来ますが、頭部が無残に潰れており、残念ながら蘇生は難しそうです。
なお、瓦礫を退け終えたゴーレムは「魔力切れデス」とつぶやいて、動かなくなってしまいます。
瓦礫の通路を抜ければ、特に何事もなく、遺跡の入り口まで進むことができます。
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