第四十四話 操作
未だに火吹き山にいる“
そんな折、小さな女の子、
「“
「おう、なんだよ、
「そうですよねぇ〜。でも、今日の動画はファン達が一斉に“
「ほう……俺の人気も伊達じゃねぇな」
「そうですよ〜。さすがトップMovieCherなだけありますねぇ〜」
「はははは、褒めても何にもでねぇぞ、
「えへへへへ。バレちゃいましたぁ〜。あ、でもですね、“
「あん? なんだ」
「火吹き山にいるMovieCherの動画ですよ〜」
「ホウホウ……なんだ、“閃光のクソ森“さんじゃねぇか。何だってんだ?」
「流石、“
「当たり前だろ、同じ
「ですよねぇ〜? えへへへ」
「よし、いいだろう。出てやるぜ。クソ森さんにはちゃんと伝えろよな。あと
「はーい、“
パタパタと駆けて行く少女の姿をモニターで捉え、俺たちは立ち上がる。よし、作戦決行だ。
───
──
─
話は数日前に遡る。アリスの作り出した謎空間で、俺たちはある男を見据えていた。
「ぐ、くそ……誰がお前らの命令など聞くものか」
「ゴンスケにヤられてムカついてたのは分かるけど、単身で私たちに戦いを挑むなんて、無謀ね」
鋼鉄の鎖で体を締め上げられた“閃光のクソ森“が憎々しげに俺たちを睨む。
「さて、コレからどうするの、ゴンスケ?」
「ふふふふふ、どうしようかなぁ?」
俺が手をワキワキしながら満面の笑みを浮かべる。その表情を見て、クソ森は怯えた顔を浮かべる。
「ま、まさか……」
「そう、そのまさか! さあ、梅干しヘッドロックの時間だよ! 梅干しヘッドロックの時間だよ!」
俺は朝の子供向け番組の口調を真似て力こぶを作る。クソ森は“ヒッ!“と声を上げてたじろいだ。
「わ、わかった! 俺が悪かった! だから、それだけは止めてくれ!!」
「ほほぅ? ならば、どうすればいいのか、分かってるのかな?」
「な、何がだ!?」
「お前のMovieChのアカウントとパスワードを教えろ」
俺の一言に、場にいた全員が呆れ顔を浮かべる。
「え? 何かおかしかった?」
「はぁ、ゴンスケ。今時、
「はははは! さすが地球人! 原住民並みの技術レベルだな」
こ、この野郎……
「惑星ネクロポリスは、
「
「
「なんだそりゃ?」
「自分が為してきた過去の行いは全て今に繋がってるのよ。地球人、特に日本人のゴンスケには“因果“って言うと分かるかな?」
「因果……って、まあ、何となく分かるけど、それとMovieChがどう関わるんだ?」
「ざっくり言うとね、MovieChはコイツが過去に仕出かした出来事で認証して、権限を認可してるの。だから、コイツのクローンを作っても遺伝子レベルでは“クソ森“と同じでも
「う、うーん……。要はコイツのMovieChサイトにアクセスするには、どう足掻いてもコイツしかできないってこと?」
「ま、そうね。ただし、普通なら、ね♪」
それだけ言うと、アリスは謎の黒光りする棒を取り出した。
「ただし、何事にも例外はあるわ。ジャジャーン! コレはね、ブラックマーケットで買った“MovieCher“お仕置き棒よ」
「なに、それ? お仕置き棒?」
「そ……それはもしや!?」
クソ森が心底怯えた表情を見せる。
「このお仕置き棒でクソ森自身を操作しちゃうの。そのために、コイツの脳みそをかき混ぜちゃうから、生物的にコイツは死んじゃうけどね」
俺は唖然とした。いやいやいやいや……お仕置きどころじゃないぞ。それじゃ拷問棒だろうが。
クソ森は事態を把握したのか、ガクガクと歯の根を鳴らし、哀願する。
「お、お前! なんでそんな違法アイテムを持ってるんだ!
「大丈夫よ! この空間は虚数座標に位置しているから、
「な、なんだと!?」
アリスが黒光した棒を手のひらでポンポンと叩く。顔には悪意満面の笑みが浮かんでいる。クソ森は瞳孔を大きく見開き、声を上げる。
「ヒィイイイィ! お、お助けを!」
おいおい……コレじゃ俺たちが猟奇殺人鬼みたいじゃないか。
「うーん、じゃあさ、お仕置き棒で洗脳されるのと、言うこと聞くまで梅干しヘッドロック地獄、どっちがいい?」
アリスの言葉にクソ森は絶望の表情を浮かべる。どちらに転んでもコイツにとっては最悪な結果なんだな。
「お仕置き棒が……」
なんと。まさか死に至るお仕置き棒を選ぶとは。梅干しヘッドロックってそんなに極悪な技なのか。
「賢明な判断ね。じゃあ、行くわよ。脳みそグリグリ〜!」
「フギャーーーーーー」
クソ森の絶叫が聞こえてくる。うげ……聞くだけで嫌な絶叫だ。
─
──
───
「やあ、クソ森さん。お久しぶりですね」
「ヤア、じゃばうぉーきーSAN。ゲンキデシタカ?」
「? クソ森さん、なんだか変ですね。どうかしたのですか?」
「hahahahaha、“I Can’t find your anther in my memory,Sorry"」
「? 突然どうしたんですか?」
「hahahahaha」
“
「じゃばうぉーきーSANのために、トクベツ会場ヲ用意シテマスヨ! サア、コチラヘ」
「あ、ああ、そうですね。それよりクソ森さん。本当に大丈夫ですか?」
「ਚੰਗਾ」
「え? なんだって?」
「ダイジョウブ」
「はぁ、そうですか」
怪しすぎるクソ森に“
───
──
─
モニター越しに彼らのやりとりを見て、俺はアリスにヒソヒソと耳打ちする。
「おい、アリス。“
「ਚੰਗਾ」
「おい、お前は普通に答えろよ」
「ああ、ごめんごめん。ま、ブサイクゴリラチキン野郎如きじゃ、こんなの分かるワケ……」
「いや、分かるだろ」
「分かると思うよ、アリス」
俺とクックロビンが口を揃える。こんな異常な相手に気づかない奴がいるものか。“
───
──
─
「クソ森さん……そういえば、アナタは別動画でアリスと地球人に仕返しに行くとか言ってましたね」
「アア、ソウダッタネ。ソレガドウカシタカイ?」
「ははは、いやね……」
“
「アナタ、アリスに操られてませんか? あのクソ
“
「hahahahahaha……」
「……間違ってたら、後で俺のサイン入りシャツをプレゼントしてあげますよ、"クソ森"さん!」
それだけ言うと、“
「よく分かったわね、“
「その話し振り、やはりアリスか。どこにいやがる!」
「ふふん。後ろを見てごらんなさい?」
それだけ言うと、クソ森はガックリと地面に膝を突いて動かなくなった。“
……誰もいない。
だが、次の瞬間、“
「かかったわね! “
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