第十三話 ジャバウォーキー
「元気にしてたか、地球人? 俺はお前に会いたくて仕方なかったよ」
「じゃ、じゃ、じゃ、じゃ、じゃ、じゃ……」
裸の盗賊たちを鎖で引き連れていたのは、“
アリス曰く、“
本当は馬鹿にしたのでなく、俺はただ名前を間違えただけなんだけど。しかし、間違えた名前が“ブサイクゴリラチキン野郎“では、怒っても当然か。
相手は俺の怯える顔を見て、下卑た笑みを浮かべ、言い放つ。
「惑星ネクロポリスではお礼が返せなかったなぁ。だが、“
なんてことだ。コイツ、本当に俺を殺すつもりだ。アリスが言っていた通り、“
お、おっかねぇ……。俺は“
いや、待てよ。俺にはアリスやクックロビンが付いている。一人だったらジャンピング土下座して命乞いするところだ。だが、頼れる仲間がいるんだ。アリスの強さは底が知れないし、クックロビンは……まあ、いいや。
とにかく、このままただ殺されるワケにはいかない。それに、弱気は
「“
「あん!?」
「……さん」
だめだ、おっかない。ムリムリムリムリ、あんな厳つい奴に敵う訳がない。俺が怖気付いていると、代弁するかの様にアリスは毅然と口を開いた。
「やい、この“ブサイクゴリラチキン野郎“。調子に乗らないでよね」
「て……テメェ、アリス。舐めてんのか」
「舐めてないわよ。アンタみたいなバイキンの塊みたいなキモい奴、舐めたら病気になっちゃうわ」
おーーーい! アリス、止めろ、止めてくれ。なんだってそんなに煽るんだよ!
このままじゃ、また“
あれ? むしろ落ち着いた顔をしている。それに、悪意のあったイヤらしい笑みから不敵な笑みに変わっている。
「アリス……昔からテメェは相手を煽るのが上手かったなぁ? そこで怒った相手を釣り出して、絡めとって倒す……お前の常套手段だ。だが、その手に乗るかよ!」
なんと。この挑発はアリスの戦術の一つだったのか。そう言えば、オークランドで戦ったオーク、“アグナロック“との戦闘でも挑発を使ってたな。見事にアグナロックにも見破られていたけど……。
ふとアリスの表情を見ると、少し戸惑いが見える。作戦を看破されたことに
「そ、そうね。よく見破ったわね。“
「アリスよォォ、俺を舐めるなよ」
“
“
「さて、ここでお前たちを俺が始末してもいいが、それじゃぁ動画としてチト弱い。だから、最近飼いだしたペットが最初にお相手するぜ」
「ぺ、ペット……まさか」
俺は視界に映る裸の盗賊たちを見る。まさか、ペットって……
「おい、
「はーい、“
暗闇からハスキーな可愛らしい声がする。その声の先から、パタパタと足音がして小さな女の子が姿を現した。
しかし、“可愛らしい“のは顔だけで、全身は可愛らしいとは程遠かった。少女の身体には近未来感を感じさせる重厚な武装が施されており、右腕には謎の兵器を装着している。一目で“
「
アリスがボソリと呟く。アリスは
俺の場違いな思いを放置し、
「“
「ああ、十分だ。よし、原住民ども。この武器でアイツらを殺れ。一人でも殺した奴は解放してやる。奴らは三人しかいないからな。早い者勝ちだぞ」
想像通り、ペットとは盗賊たちのことだった。なんて下衆なことを考えてるんだ。
「ほ、本当か! 本当にアイツらを殺せば解放してくれやがるのか?」
「ああ、いいぜ。俺は優しいんだ。約束は守ってやる」
“
その内の一人は隠し切れない怒りを見せていた。男は鋭利な刺突剣を手に持ち、ゆっくりと立ち上がり、そして……
「アイツらを殺せば助けてくれやがるのか。だが……」
男は剣を素早く“
「テメェを殺せば手っ取り早いぜ! 死ね」
言葉と同時に勢いよく“
“ガイン“
しかし、堅い金属を叩いた音がして、男の刺突剣はあっけなく弾かれた。
「な! なぜだ!?」
男の戸惑いは最もだ。俺の目からしても、刺突剣は確実に“
その時、アリスがボソリと呟いた。
「電磁バリアね。相変わらず、最新兵器で武装してるわね、“
電磁バリア? その兵器の得体は知らないが、男の刺突剣を簡単に弾くとは、相当に強固な武装みたいだ。あんな武装をしていれば、俺の剣なんかで“
「あ〜、それは契約……」
「
“
と思ったら、少し違った。いや、大分違う。鉄塊は急速に赤みを帯び、強烈な熱波を放ち出した。
「ま、待て!」
「ペット用のお仕置き棒だ」
“
「“
「おっと、悪い悪い。やり過ぎちまった」
「だけど、動画的にはOKで〜す。“
“
「さぁ〜皆さ〜ん。頑張って殺してくださ〜い。では、レッツスタート」
正直言うと、人を殺したくはない。しかし、この状況では殺らなければ、自分が殺られる。くそ、“
「ゴンスケ! 戦闘開始よ。まずは
アリスの一言に俺は
==========
Name:ヌーマ
Class:剣士
Sex:男性
Age:32
Level:4
Strength:1+2
Perception:1+2
Endurance:0+2
Charisma:2+2
Intelligence:0+2
Agility:2+2
Luck:0+2
Skill
恫喝レベル1
Status
恐慌
契約補正
==========
==========
Name:ンガチャ
Class:斧戦士
Sex:男性
Age:33
Level:5
Strength:4+2
Perception:0+2
Endurance:2+2
Charisma:0+2
Intelligence:0+2
Agility:0+2
Luck:1 +2
Skill
罵声レベル1
Status
発狂
契約補正
==========
==========
Name:ヌルダ
Class:剣士
Sex:男性
Age:19
Level:2
Strength:2+2
Perception:0+2
Endurance:1+2
Charisma:0+2
Intelligence:2+2
Agility:0+2
Luck:1+2
Skill
威圧レベル1
Status
絶望
契約補正
==========
見事なくらい精神状態が壊滅的だ。能力的にもオークランドで見たシセロやコレットちゃんと比べるまでもなくお粗末なモノだ。しかし、“+“ってなんだ?どうやら能力が補正されているようだ。“契約補正“とかいうStatusが関係しているのか?
ふと、先ほど死亡した男が気になり、目線を向ける。死亡していても
==========
Name:ターボ
Class:剣士
Sex:男性
Age:40
Level:19
Strength:4
Perception:4
Endurance:4
Charisma:5
Intelligence:4
Agility:6
Luck:1
Skill
洋剣レベル3
恫喝レベル2
部隊指揮レベル2
Status
死亡
==========
なんと、先ほどの男が盗賊団の団長“ターボ“だったのか。この
しかし、ターボには“+“が無い。何故だろう、死んでしまったことが関係しているのか。Statusにも“契約補正“がないことから関連性がうかがえる。
そう言えば、“
その動きを見ていたのか、クックロビンが珍しく大きな声を上げた。
「いけない、ゴンスケくん! “
え?と思った時には遅かった。
==========
Name:Seal
Class:Seal
Sex:Seal
Age:Seal
Level:Seal
Strength:Seal
Perception:Seal
Endurance:Seal
Charisma:Seal
Intelligence:Seal
Agility:Seal
Luck:Seal
Skill
Seal
Status
Seal
※盗聴者向けの報復プログラム発動
==========
“Seal“? 一体なんだ。まったく
俺の危機感より先にクックロビンが先に動いた。
空中に飛んで行った
「な……? 一体何が」
「“
なんと言う事だ。危なかった。あんな爆発を受けたら、顔が吹き飛んでいたところだ。
もしかして、オークランドで俺がアリスの
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