第十話 魔法触媒射出器
「アリス。“
「ええ。ゴンスケはこの“火吹き山“で“
「ああ。そういうことか。ゴンスケくん、トップMovieCherの“
「むむむむ、無茶っていうか、無理なんですけど! だって、“
「大丈夫よ、ゴンスケ。アンタにとっておきの魔法があるわ」
「ま、魔法? そ、そうだ。魔法だ。
俺は盾の裏側に装着した
俺はわずかばかりの希望を感じてアリスに向き直る。さあ、アリス。とっておきの魔法を教えてくれ。
と、思ったけど、これ、どうやって使うんだ?
「アリス、これ、どうやって使うんだ?」
「あれ? ゴンスケ、
「無いよ。
「じゃあ、教えてあげるわ。
「こうか?」
「おお!?」
「じゃ、次ね。ゴンスケの
「システムリンク? なんだそれ」
「話すと長くなるから、ざっくり話すと、惑星ダンジョンに張り巡らされた魔法システムに
「うーん、仕組みが分からんなぁ……」
「ま、仕組みは結構難しいから追々話すとして……今から言う言葉を唱えて」
そう言うと、アリスは両手を重ねて目を閉じ、言葉を紡いだ。
「世界の理システムにリンクアクセス……リンクモジュール、火神の加護を我が手に」
アリスが言葉を唱えると体から白い光が立ち上がった。光に包まれる彼女の姿は荘厳さを感じさせる。いつもと違うアリスの雰囲気に、俺は少しドキリとした。
「どうしたの? さあ、唱えてみて」
「あ、ああ。えと…… 世界の理システムにリンクアクセス……リンクモジュール、火神の加護を我が手に」
俺の言葉に反応して、盾に装着した機械が強く光る。アリスと異なり鈍色の光なのは、旧式だからなのだろうか。光は徐々に収まり、いつしか淡く光るのみとなった。それと同時に、“リンク成功です“と言う声が機械から響いた。
「はい、これで魔法が使えるようになったわ」
「おお! これで魔法が使えるのか。でも、どんな魔法が使えるんだ?」
「使える魔法は惑星ネクロポリスで購入した魔法データと魔法触媒次第ね」
「また金か……」
惑星ネクロポリスはとにかく金が掛かる。レベルアップも金次第だし、魔法も金次第か……。俺はガックリと肩を落とした。だが、アリスの次の一言が俺に希望を持たせた。
「まあまあ、ゴンスケの
「なんと。それは嬉しいな」
「それに、お金以外に魔法を覚える方法もあるわ」
「え? マジで?」
「ええ。同じ魔法をたくさん使えば、データ蓄積で派生する魔法を覚える場合もあるわ。他にもリンクボーナスで特殊な魔法を使える場合もあるわ」
「リンクボーナス? そう言えば、火吹き山の説明で“火神の加護“について何か書いてあったな。さっきのリンクモジュールってのが、それか?」
「ええ、そうよ。この火吹き山のリンクボーナスは、火炎系魔法の強化ともう一つ、特殊魔法を一つ使えるのよ。その特殊魔法が“
なんだって? 切り札だと? 俺は
「その名も自己犠牲魔法よ。その魔法を使えば、自分の肉体を使って核融合を発生させて大爆発を起こすのよ」
ん? なんだろう。アリスの言っている魔法の効果がひどく不穏な感じがする。
「ただ、この魔法の欠点は自分が絶対に爆心地になっちゃうの。使用者は当然死亡するし、装備もバラバラになっちゃうわね」
「は……? ちょ、ちょっと待って。自己犠牲魔法って……もしかして…」
「さあ、ゴンスケ。自己犠牲魔法で“
「人間爆弾かよ! 嫌じゃ、ボケェ!」
俺の拒絶にアリスは“なんで?“と言った顔をする。一方のクックロビンはエールを浴びる様に飲み、気を失っている。
この二人との先行きに俺は不安を覚えてきた。
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