第17話 講義

 1時限目:休講


(何で休講なんだよ……)


 安全第一で、急いで自転車をこいだ。そして山をハーハー言いながら登り、朝から疲労を溜めてしまった。


 くだらん苦労とはいえ苦労は苦労、それが休講という予期せぬ事実によって水泡に帰した。


 2時限目:固体物性論

 フォノンについて学んだ。


(はぁ、講義終わった。家で運動方程式の解を代入して、解くか)


 これで今日の講義は終わり。あとは家に帰るだけだ。


(…………)


 男、女、それらが100人程度いるが、皆俺より遥かに賑やかだ。講義が終わってメシやらお出かけ話やらで盛り上がっている。やつらは、さぞ大学生活を謳歌しているのだろう。留年を3度も経験した俺には、彼らが非常に遠い場所で輝く星団に見える。


 人は、俺よりも幸せなんだろうと思う。

 そんな現実を長々と見る気もない。

 だから、真ッ昼間に一人で帰路に就く。

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