第5話 また捨てられていた

 夜。

 コンビニへ向かうために、上着を着る。まだ少し寒いから、風邪をひくかもしれない。上着はまだまだしまい込めない。


 ガチャ


 ――――――


 コンビニから帰ってくるときは、いつも無意識的に下を向いてしまう。無意識のうちにそうなってるということは、自分にはよっぽど自信がないことの現れなのだろう。留年を重ねたし、つく自信もつかない。


 まあ、留年と言っても、成績不振だけが原因じゃない。俺は高校のころからずっと一人でぽつんといたから、どんどん憂鬱が蓄積していた。そのままなんとか三年生までこぎ着けたものの、自動車学校の教官に怒鳴られたことをきっかけにメンタルがぼきっと折れ、ずるずると気分が落ち込み、なんか知らないうちにとんでもないことになってしまった。


 こんな自分に、価値なんてほとんど見出せない。2年前に、学生相談室の先生は「価値がない人間なんていない、人間には無数の要素があるから、何らかの価値はあるはず」と慰めてくれた。だけど、今こんなになってる現状を冷静に見れば、価値なんて……と思ってしまう。


 ああ、こういう考え方がいけない。前を向いて歩こう。


 前を向いてみる。


 目に入ったのは、アパートの前のゴミ捨て場と美少女。


「あ!」


 また、ゴミ捨て場に美少女JKが捨てられていた。

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