第5話
ご飯を食べ終え、母さん達が持ってきてくれた服へと着替える。女同士といえど、知らない人の前で裸になるのは正直恥ずかしいが、家族なので仕方がない。
(そういえば、服装も普通だな)
母さんやロカを見ても、私が着ていたような服と変わりがない。セラの服は、流行りなのかセラの趣味なのか分からないが、暗い色合いの服だったが、シンプルでラフな服装だ。
モデルのような体型なので、逆にそれがとても似合っているように感じた。
(未来の私…すごい)
病院を出ると、そこには街が広がっていた。車は走っていないようだったけど、歩いている人や自転車のような乗り物、建物はどれもドームのような形をしている事以外は普通の街だった。
息もできるし、身体も浮かない、人もいるし、植物だってある。地球から遥かに離れたどこかの星だとは全く思えない。
でも...綺麗な青いあの空は作り物なのだ。
「じゃあ、母さん達は買い物して帰るから。セラはウインタと髪を直しに行って帰ってきてね」
「うん。わかった」
母さんが指さす先、病院の入口に、男の人が立っていた。彼がウインタだ。私が近寄ると、にっこりと微笑んでいる。
どっからどうみても、かなりがたいの良い人の良さそうな好青年にしか見えないが、彼は“ロボット”だった。
元々家で使っていた、どこにでもいるお手伝いロボットを、セラが自分の研究を手伝ってもらう為に改良したものだという。
「セラ様。まだ、体調は万全では無いでしょうから、小さな不調でもすぐに教えてくださいませ」
「あ、ありがとう」
(これがロボット!?人間じゃん!!)
話し方や、表情、手足の動かし方、どれを見ても私には人にしか見えなかった。頭では理解している。なんなら、中の構造まではっきりと“分かる”けど...全く受け入れられない!
(その辺を歩いている人の中にも、ロボットがいるんだろうな...)
こっそりと辺りを見回した。
「さぁ、遅くならないうちに行きましょう」
ウインタについて行くと、見慣れた普通の美容室があった。中に入ると、これは何に使われるのか...という機械や道具も見られたが、ひとまず安心。
カットして貰っている間に、掃除をしているロボットを観察していると、人間との違いがわかってきた。
(いやまぁ、“わかって”というより“思い出して”が正解なのだけど...)
その中の一つとして、彼らは〈瞬きをしない〉。目が乾かないから当たり前といえば当たり前だけど、これが意外に違和感がすごい。基本的にこれだけで、人との区別が簡単にできそう。
(ほとんど人と同じなんて、本当にすごい時代にきちゃったんだなぁ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます