第4話
目が覚めると、“母さんのオリザノ”と“妹のロカ”が部屋の入り口の方で何か話をしているのが見えた。...初めて見る顔をすぐに誰か分かるのは、かなり奇妙な感覚だ。
私の視線に気づいたのか、2人が近づいてきた。
「起きたわね。本当に良かった!」
「髪がすごい…」
「髪くらいで済んで良かったわ!本当に驚いたんだから!」
母さんの目が涙で溢れた。
この時代の医学だからこそ、今はこんなに元気だが、自分の子供が爆発に巻き込まれ全身大怪我をしたとなれば、心配も大きかっただろう。
「ごめんなさい」
素直に言葉が出た。
母さんは少し驚いたような顔をした気がしたが、にっこりと笑った。昨日、頭の中で思い出した時も思ったが、笑うとさらに可愛らしかった。
「セラ、ご飯来たよ」
ロカからご飯を受け取る。この親にしてこの子ありというか、ロカは母さんに瓜二つだった。セラも似てると思ったが、ロカは髪までそっくりだ。少し無愛想な感じだけど。
「母さん、帰りに髪を直した方がいいんじゃない?」
「そうね。予約を入れておきましょう。」
2人が話している間、届いたご飯を食べる。
昨夜はご飯を食べなかったので考えなかったが、この時代も食べ物自体はあまり変化は無いようだ。
今食べている物も、コンソメスープにロールパン、ハムと卵、オレンジジュース。病院の朝ご飯としても、至って普通である。
昔見たSF映画では、チューブのゼリーや、カロリーの塊のような物を食べているシーンがあったが、もしそんなんだったらとても辛い。
「...よっぽどお腹が空いていたのねぇ」
(しまった!!)
母さんの言葉でハッとする。
セラはいつも何かを研究したり、作ったりしているので、食事はスピード重視。基本的に味わって食べないし、そもそも全部平らげたりしないのだった。もうほとんど空になった食事を見て、2人とも驚いている。
「何日も食べて無かったから、そりゃお腹も空くわよね」
「う、うん。そうみたい。へへ」
「ご飯完食するセラ、かなりレアだね」
...どうにかごまかせたようだ。
もう、この際ちゃんと食べるようにしよう。この身体はちょっと痩せすぎだし、ご飯をちゃんと食べられないなんて、私には耐えられそうに無い。
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