第3話
私はあの怪我で多分死んで、この子に生まれ変わった。で、この子も大きな事故で怪我をして、たぶんそのショックか何かで私の記憶を思い出した、ってこと?いわゆる転生...になるのだろうか。
「うーん!これは大変だ!」
寝転がり大きく伸びをする。身体が伸びて気持ちがいい。
(生まれ変わりなんて、本当にあったのか。死ぬ前、神様にちゃんとお願いしておいて良かった。これはなかなかの美少女だ...それにしたって、この時代や場所はどこなんだろう?)
目を閉じて考える。
考えると同時に、答えが分かっていた。
(今は西暦4280年、ここは第2銀河の"レディス"という星で、コロニーBのホスピタル...!?)
知らないはずなのに、知っている。
この感覚は少し、気持ちが悪かった。
(私の名前はセラで、おそらく明日の朝には、お母さんが迎えに来てくれる)
頭の中で、ウェーブのかかった髪の小柄な女性が浮かんだ。さっき見た少女と同じ目の色をして、雰囲気も少し似ている。きっとこの人がお母さんなんだろう。
「ふー...」
深くため息をついた。
(右も左もわからないところに飛ばされたわけじゃないんだ。私はただ"思い出した"だけ。大丈夫!これは、なんとかなる!)
我ながらかなり前向きな考えだとは思うけど、そう思うしかないじゃない?生まれ変わった先が、虫や動物じゃなくて良かったのかも。しかも、こんな可愛い子...大出世!!
(自分より先に死ぬなんて...って、みんな怒っただろうな...ふふふ)
昔の家族の事を思い出す。
おばあちゃんなんか、特に怒りそう。父さんも、母さんも、兄妹たちも、友達も...みんなあんまり泣いてないといいけど。
ほとんど音のしないはずの病室で、家の田んぼのカエルが鳴いている音がしている気がした。エアコンも無いから、夏は窓を開けるしかないんだけど、そうすると虫の音や風の音、夜の散歩をしている近所のおばちゃんの話し声なんかが聞こえてきて...
昨日のことだったはずなのに、ひどく懐かしく感じた。
(明日からは、覚えること...じゃなかった。"思いださないといけないこと"が、いっぱいあるんだから、今日はもう寝よう)
たくさん寝ていたからか、あまり眠気もないけど、とりあえず身体の力を抜いて、目を閉じる。騒がしかった夏の音はいつのまにか無くなって、静かな病室に戻っていた。
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