第484話 今日は少々
「あ、先輩。そういえばちょっと前に今年のゲーム大賞が決まりましたね! 見ましたか?」
「ん、もうそんな時期か? まだ見てないな。どのタイトルが獲ったんだ?」
「えーっと、確かほら、オープンワールドのー、アレですよアレ。今まで大人気だったシリーズものを出してるとこで今回はその系譜を踏襲しつつもリニューアルした作品!」
いや、そこまで分かってて何でタイトル名が出て来ないんだ? 私に遠慮しているのだろうか? スポンサー企業が付いているわけでもないだろうに……もしかして本当に忘れちゃったとか?
「それで先輩はそういう賞とかって狙わないんですか?」
え、終わり? もうちょっとゲーム大賞の話するんじゃないのか? せめてタイトルくらいは教えて欲しかったんだが。
「んー賞かー」
「え、もしかしてそんなに興味ないとか?」
「興味なくは無いんだが、ほら、狙って獲れるものでも無いだろう? それに、別に賞が取れなかったからといって別にその作品が駄作という訳じゃないだろう?」
「いやまあそれはそうですけどー、その上でやっぱり賞を獲りたいなーって思わないんですか?」
確かに、普通ならもっと賞に情熱を傾けるべきなのだろうな。
無論、それが目的になってしまっては本末転倒であるというのは大前提だが、あくまで手段としても賞を目指すのは悪いことではないし、むしろ近道になる場合もある。
ではなぜ私は目指していないのだろう。
本心から別に強がっていないと断言できるし、貰えるものなら貰いたいとも思っている。ただ、それ以上に経営者目線が入るのだろうか。クリエイターであるという前に。いや違うな、別にそれは関係のないことだ。両立だってできる。
もしかしたら、誰かの基準で評価されたくないと言えば聞こえがいいが、誰かが駄作の烙印を押されることを恐怖しているだけなのかもしれない。
「お前は賞を獲りたいのか?」
「もちろんですよ! 獲りたいに決まってるじゃないですか!」
眩しい。
私にもこんなにエネルギッシュな時があったのだろうか。最近はどうも活力が無いように感じてしまう。それこそ、活力を生み出そうとする労力すら惜しむかのように。
「じゃあお前は賞は獲れる獲れないに関わらず目指すべきだと考えるのか?」
「んー、別に全員が目指すべきだとは思いませんが、少なくとも先輩は目指していいんじゃ無いですか? 先輩なら獲れると思いますし」
そんなことをサラッと言ってのける後輩の眼は一点の曇りもなかった。
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の三つに分けた時の皆さんの心のグラフの変化が気になりますね(´﹃`)
私は需要がないと頑張れないタイプなんです…
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