「あ、先輩。とうとう彼がユグドラシルに手をかけましたよ！」

「なんだって？？」

　ユグドラシル。それは私たちのゲームの紛れようもないエンドコンテンツだ。それに彼が遂に手をかけたということなのか。当初の予定よりもかなり早い。

「いつの間にもう三つのアイテムをゲットし終えていたのか？」

「はい。先輩が別の作業をしている間にチャチャっと集めちゃってましたよ。まあ、お助けAIがいるから詰まる方が難しいんですけどね」

「あぁ、それもそうか」

　神様をお客様として見立てた時のコンシェルジュのような存在がAIだ。神様になってからはこの存在をどのように上手く扱うかが重要になるのだが……

「彼は非常に良くこのAIを使えているようですね。好感度がかなり高いですよ？」

　どうやら彼にはその才能もあるらしい。まあ、日頃従魔や他の魔王軍と接しているだけあってコミュニケーションが非常に上手なのだろう。

「それにしても見てくださいよこの爆誕してしまった巨大樹を。こんな禍々しいものになりますかね？　普通」

「彼は到底普通じゃないのだろうな。それにしてもあまりに禍々しすぎるが」

　本来神聖なもののはずである世界樹の入り口がこうも魔の色に染められるとは……相変わらず恐ろしいな。

　まあ、魔神も神の内ということだろう。

　そんな彼が神の住まう場所でどんな立ち振る舞いを見せてくれるのだろうか。人の中では敵なしだったが、神を相手にしたらどうなるかは……いや、心のどこかで結果は分かっているがな。

　ただ、エンドコンテンツに相応しいだけのボリュームと難易度はしているはずだ。それに気づかなければいけないギミックも。彼がどのように攻略していくのかは非常に気になるな。

「あ、え、彼一瞬で入り口を登りきっちゃいましたよ？　これを頑張って登るのも醍醐味の一つじゃなかったでしたっけ？」

「え、あの高さを一瞬で？？」

　もはや何も言うまい。

「はい。時間歩行とかいうトンデモスキルでちょうど一分くらいを使って登っちゃいましたよ。って、え！？」

「ん、どうしたんだ？」

「いや、彼、ユグドラシルのエントランスにいる案内人に喧嘩を売ってるんですけど！！」

　け、喧嘩？？

「彼、ここに着くなり喧嘩って何を考えてるんですか？　ってか、そのNPCは本当に案内人なのに！　上手くいけばとても親身になってサポートしてくれるんですよ？　一応何かあった時のために敵対ムーブは搭載しているんですけど、そんな不届き者には鉄槌をと言うことでかなり強めなんですが……大丈夫ですかね？」

「え、何が？」

「ほら、彼に秒殺されたら色々と立つ瀬がないっていうか……」

　あぁ、NPCの方の心配か。それなら大丈夫だろう。初見でこの仕掛けに気づくのは彼でも少し難しいはずだ。

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運営編、ほぼ一ヶ月ぶりだそう。

これからは頑張って毎日とは言わず投稿しますね(*•̀ㅂ•́)و

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