第480話 粗悪品
「せんぱぁあああああああいいいい!」
「おう、どうしたどうした」
今日は一段と元気があるな。どうしたんだろうか。
「先輩、私偽物掴まされちゃいました」
「は?」
「ほら、私今空前のゲームブームじゃないですか」
いや、それは知らないが。ってか、ゲームにブームなんてあるのか?
「それで、レトロゲーも色々漁ろうと思ってコントロラー買ったら、精巧に作られた偽物だったんですよ!? 終わってないですか? マジで憤慨してます。善良な市民を騙して商売するなんて許せないです!」
「へぇー、そんなことがあるんだな」
「へぇー、ってなんですか、へーって! 可愛い可愛い後輩ちゃんがとっても悲しんでるんですよ? 少しは共感の意を示してくださいよ!」
「い、いや私は偽物掴まされてないからな。ん、ゲームの本体の方は無事買えたのか?」
「はい。そちらは随分前にちゃんとしたのを買ってて、もう既に遊んでたのですが、コントローラーが壊れそうだったから丈夫そうな純正品を購入したんです。そしたらまさかの……ちゃんとトンズラされてますし、これは許すマジですね。業者の所に彼を送りつけて粉々にしたい気分です」
あくまで自分はいかないのか。まあ、彼なら粉々どころじゃないんだろうが。
「まあ、本体じゃないだけマシだったんじゃないか? 本体に比べたらそこまで値段も高くないだろう?」
「値段の問題じゃないんですー! そもそも大なり小なりお金が無駄になったってだけでも憤懣遣る方ないのに、それまでのワクワク感とか期待感とか上げるだけ上げさせおいて、奈落に突き落とされたんですよ?ビルの2階から飛び降りるのと、屋上から飛び降りるのどっちが痛いと思います!?」
なるほど、怒りのパワーというのは恐ろしく強いのだな。彼女のテンションが高い状態とは比にならないくらいヒートアップしている。彼女で発電ができそうなくらいには熱々だ。
「はぁー、ゲームの方は関係ないのにゲームのやる気まで失せちゃいましたよ」
「それは本当に残念だったな」
「……本当に思ってます?」
あぁ、これは非常に良くない。彼女の精神状態が良くないことで、全方位に対して牙が剥かれてしまっている。一度触れようものなら、いや掠っただけでも、ぐちゃぐちゃに噛み砕かれそうな雰囲気だ。
「よし、こういう時は飯だよな」
「……」
え、マジで!? あの後輩が飯でも釣られない、だと……!? これは私が思っていたよりも相当に深刻な事態のようだ。それこそ、私たちが出会って史上最大の難関と言えるほどには。
どうにかしないと、社の存続に関わるかもしれないぞ。
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えーっと、本当に悲しいです。
皆さんも本当に気をつけて欲しいチュウ。
私は小説を更新しまくって損害を補填しなきゃ……
皆さんも一日百回くらいは死にたがりを読んでくださると助かります()
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