第478話 昇給委員会
「せんぱーい! 給料上げてくださーい!」
「へ?」
本日、出社すると出し抜けに後輩からそんなことを言われた。正直、朝の頭の回っていない時間帯にこんなことを言われると、ちゃんと混乱するからやめて欲しい。朝の刺激なんて少なければ少ないほどいいんだから。
「で、どうしてまたそんなことを?」
「いやー、ちょっと最近欲しいものが出来まして……」
「欲しいもの? そんなに高いものなのか?」
実際の所、後輩くんには少なくない額を渡している。ちょっとやそっとの「欲しいもの」では彼女の財政状態を圧迫するとは思えないのだが。
「んー、そうですねー。高いか低いかで言うなら高い、ですかね〜」
いや、できれば高いか安いかで言ってほしかったな。あと、どのくらい高いのか、とか。
彼女が毎月どれくらいの出費と貯金をしているのかなんて、聞いたこともなかったから分からないが、昇給を申し出るほどだ、かなり覚悟しておいた方がいいだろう。
「それで、何が買いたいんだ?」
場合によっては、彼女、あるいはその周辺人物が相当深刻な事態に陥ってて、急遽お金が必要になった可能性がある。もし、困っているなら全力でサポートする必要がある。彼女はどれだけふざけていても貴重な社員なのだから。
「げ、ゲームが欲しいんです」
「は? ゲーム?」
ちょっと数秒前の心持ちを返して欲しい。シリアスモードに移行したのが完全の無駄だったじゃないか。
「い、いやゲームと言ってもアレですよ? 最近話題の超高性能VRチェア、が欲しいんです! まあ、そこで発売されるソフトもとても面白そう、ってのはあるんですが、常に最新技術に触れていないと、ほら訛っちゃうじゃ無いですか?」
「なんだ、そう言うことか。それなら社用のがあるじゃないか。アレも最新というほどでもないが、高性能であることには変わりないだろう?」
「ダーメーでーすー! 技術ってのは日々進歩しているんです! その最前線、フロンティアに私たちはいなければならないと思うんです!」
何故言い換えたし。
でもまあ確かに言いたいことは分かる。分かるが、
「だが、実際にゲームを遊んでもらうお客様たちはそんな超高性能なハードを持ち合わせていないだろう? 本当に意味があるのか?」
「だからこそですよ! ちゃんと幅を知った上でお客様のニーズに合わせていくことが大切なんですよ。それに、言い換えれば超高性能ハードを持ってる人もいるじゃないですか。そこにも対応してこそ、だと思うんですよねー!」
こそ、なんなのかちゃんと言って欲しいんですけど。
「分かった。でも昇給ってなると自分個人で購入して所有したいのか? 社用のを新しくするのではダメなのか?」
「もちろんそれでもいいですよ?」
いいんかい。
「じゃあ、分かった。色々と掛け合ってみるから、少し待っててくれ」
「はーい!」
はぁ、これでまた胃に穴ができるな……
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最近、欲しいものがありすぎて困ってます。
皆様のほしい物リストを教えてくださいな♪
私はブックカバーとゲームソフトと、スピーカーが欲しいですね。(もちろんキリがないですがまだまだあります
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