第474話 鷲掴む
「せ、先輩! か、彼が王都を侵攻しちゃってるんですけど!?」
後輩のゲーム休憩が終わって、やっとこさ業務に戻ったかと思うと、そんなことを言い出した。
「王都を侵攻!? それはまた急だな。そんなことをするメリットがあるのか?」
「先輩はすぐそうやってメリットデメリットって言いますよねー。ただもロマンでもいいじゃないですか!」
い、いや確かにそうだが、別に聞いたっていいだろう。他人の行動を理解するにはメリットデメリットで考えるのが一番分かりやすいのだから。
それに、王都ってロマンで侵攻するものなのか?
「恐らくですが、信仰ポイントを集めようとしてるんじゃないですか? 王都を落とせばそこにいるNPCたちの心を鷲掴みにすることができますし、そこを利用するプレイヤーたちにも魔王の存在を知らしめることができます」
なるほど。というかちゃんとした理由もあるじゃないか。あと、彼が心を鷲掴みする、と聞くとどうしても物理的なものを想像してしまうのだが。
「それで、今はどんな状況なんだ?」
「はい。先ずは彼の魔王軍(プレイヤー)たちによって無血開城が試みられました」
「無血開城?」
「本来の意味とは違うのですが、ただただプレイヤーたちが何もせず侵攻していくと言うものですね。当然、プレイヤー含め王都の騎士たちが防衛しようとしますが、圧倒的な物量と気味の悪さで、王都中を混乱の渦中に陥れました」
確かに、それはえげつなさそうだな。想像しただけでも恐ろしい。まるで、ゾンビ映画のようじゃないか。
「だが、それだけで王都を落とせるわけではないだろう? 一人一人の戦闘力はそこまで高くないのだろうし、それだけで王様が言うことを聞くようになるとは思えないのだが」
「はい、もちろんです。それらはあくまで陽動に過ぎず、彼の本当の狙いは妖術によって洗脳状態に陥れることが目的のようです」
「はい? 洗脳状態だって?」
やっぱり鷲掴み(物理)じゃないか。そんな強引な方法で王都を陥落させようなんて、そんな人物がかつていただろうか。いや、まあ現実には絶対にいないか。
「そ、それで洗脳は完了したのか!?」
「いやいや、そう焦らないでくださいよ。王都全体を支配しようとする妖術がそんな簡単に実行できるわけないでしょう? 王都に四ヶ所、その術を行使するための基点となる柱を展開中です。流石に彼といえど、自身が術を発動するわけでもないのでこれくらいの準備は必要なのです」
逆に言えば柱四本で王都を支配できるって考えれば……相変わらず恐ろしいな。
「しかし流石にここで邪魔が入ります。プレイヤーたちもあの柱が不味いということは感覚に理解したようです。一斉に攻撃が開始されました。魔王サイドも戦力を四分割しなければならず、かなりの苦戦が強いられそうです」
ほう、確かに彼の体は四つないからな。それは彼の唯一の弱点とも言えるだろう。この局面をどうやって切り抜けるかな??
「あ、従魔たちが頑張っちゃってますね」
「へ?」
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