第473話 金冠を目指して
「えーっと、まずは開幕抜刀攻撃を三回して相手を怯ませて、っと。そして怒り状態突入。ここもまだ二回抜刀できる。そしてここからはランダム。潜るのはやめて潜るのはやめて、あー潜りやがった。これの時間ロスエグいんだよなー」
ある日、私がオフィスへ入るとそこにはブツクサ独り言を言いながらモニターに向かう彼女の姿があった。その姿に私はある疑問を覚えずにはいられなかった。
抜刀攻撃を三回するってどういう状態だ? 一度抜刀したら次は出来なくなるんじゃないか? と。
まあ、そんなことよりも彼女がモニターでゲームしていること自体珍しい。それに、彼女の様子も尋常ではない。何かあったのだろうか?
「おい、何してn」
「ちょっと待ってください、今は話しかけないでください。前攻撃は一瞬待って左前に躱わす。そして技後硬直に裏当てで抜刀を当てる。よし、これでスタンゲット。ここからは溜め攻撃をどれくらい当てられるかだけど……よし全ヒット。後は足を引き摺るから先回りして頭に……ドーン!っと。よし、ふぅ〜、あれ先輩何してるんですか?」
その後輩の様子に呆気に取られていると、彼女の方から声をかけてきた。って、さっきのは私として認識すらしていなかったのか。一体どういう状態だったんだ?
「な、何をしているんだ?」
「へ? あぁこれはなんというか、そのー研究? ほら、先輩も新しいゲームを作るって言ってたじゃないですか。私もインプットしなきゃと思ってゲームしてたんですよ!」
「そ、そうか。では何故モニターでゲームしてるんだ? VRゲームがたくさんあるだろう?」
「んーそれはですね。おそらく私たちの競合は皆さん色んなVRゲームを研究されていると思うんです。だからこそ、温故知新と言いますか、他人とは違うインプットをすることによって、新たな知見を得ようと思いまして」
うん、一応筋は通っているな。ただ、
「じゃあ、それは今何のゲームをしているんだ?」
「……某狩りゲーです」
「ほう、それでストーリーはクリアしたのか?」
「は、はい」
「何時間前に?」
「ストーリーはゲームを購入してすぐクリアしてたので、多分、三、四時間前?」
「ん、じゃあ今は何やってるんだ?」
「えーっと、全モンスターの最大サイズを狙ってます」
そんなことだろうと思ったよ。大抵のゲームを難なくクリアする後輩が、あんな異様な雰囲気になるはずがない。
「それで何か新しい知見は得られたのか?」
「はい。蟹の効率の良い倒し方を……」
全くこれだから彼女は。研究にかこつけてがっつりゲームを楽しんじゃってるじゃん。しかも、最終的なやり込み要素までクリアしようとしてる。
「あ、もしかして先輩も一緒にしたいですか!? やりましょやりましょ! そんなこともあろうかと端末二つ用意してるんですよ!」
「やりません」
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んー、実話ではない、と信じたい、です。
皆さんがやり込んだ、あるいはハマった、あるいはやってみたいゲーム等あれば教えてください!(≧▽≦)
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